抜け殻と紅葉

アニメ映画「マインド・ゲーム」のラスト近くで「Viva!」という曲が流れる。
サウンドトラックで聞くまで気付かなかったのだが、この曲にはところどころにセミの鳴き声が入っている。
やはり、セミの鳴き声なんだな。
セミの鳴き声は、単に虫のなすこと、というだけではなく、何かしら人間、特に日本人とセミを食す文化圏の人、素数年齢の人あたりに訴えかけるものがある。
ごめん後半うそ。
夏。
空気と同じくらい密に周囲に存在している、セミの鳴き声。
そのときは火で腐海を焼き払いたくなるくらい腹が立っていたとしても、その声が少なくなってきて、夜に一声だけ聞こえたりして、カラスに追われているセミがビービー言ったりして、セミが道に転がっていたりして、つぶれてたりして。
腹が立っていたことも忘れ、なんだか心に重く来るものがあるだろう?。
また、セミの鳴き声はもはやデフォルトで、むしろそればかりしか聞こえないことは静かだ、とはよく言われるところ。
セミの鳴き声は、我々の中にかなり刷り込まれているに違いない。
そのためか、童謡「虫のこえ」でも、その感慨は見事にとらえられている。
*****
あれ松虫が 鳴いている
ちんちろ ちんちろ ちんちろりん
あれ鈴虫も 鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を 鳴き通す
ああおもしろい 虫のこえ
*****
かかったな。
セミいねーよ!!。
2番の歌詞にも、いねーよ!!。
そして虫のこえ。
特におもしろくねーよ!!。
セミが秋の虫でなくて、ざんねんだったな!!。

ドリア三味、ごちそうさま。

ドリアはあつあつなので、食べるのに時間がかかる。

食べている途中で満腹感が得られる。

食べ過ぎることがない。

ヘルシー。
以上の命題が、真か偽か。
判定するため、150人のモニターを用意し、あつあつのドリアを3日間、提供しました。
「その調査で言えることは?」
あつあつなのに、がんばって食べる人が多いことがわかりました。
「ドリアが冷えてたら、どうなったんだろう?」
既に実験しています。150人のモニターを用意し、冷え冷えのドリアを3日間、提供しました。
「その調査で言えることは?」
食の進まない人が多いことがわかりました。
「・・・うん。冷凍食品のドリアに、別の可能性が示唆されたな。」

ドリア三味、おかわり。

小さな洋食屋さんで、ドリアを注文する。
昼食どきでも、夕食どきでもない。
お客さんが自分しかいない。
そんなとき、厨房の方から「チーン」と聞こえたら。
名指しである。
彼はファミレスが嫌いだった。
厨房から店員さんが出てくるたびに、自分の注文した料理なんじゃないか、と見てしまう。
極度に腹が減っているわけでもないのに。
その行為はなんだか子供じみてる。
しかし、気付くとやってしまっている。
軽い自己嫌悪。
レンジの音に気付かないふりをしていると、くたびれたエプロンをした店主がドリアを持って、近づいてきた。
「あんた、チーン聞こえなんだか。」
「え?」
「あんた、チーン聞こえたら、それはあんたのドリアに決まってる。」
「なら、食べる準備をしとくもんだ。」
いやな想像をしてしまった。
そんな不躾な店主はいないだろうが。
そうこうしていると、くたびれたエプロンをした店主がドリアを持って、近づいてきた。
彼はあわててスプーンを手に取り、それでテーブルの木目をなぞり始めた。
店主はその行動を一瞥もせず、何事もないようにドリアをテーブルに置いて、愛想良く彼といくらかの言葉を交わしたあと、立ち去った。
軽い自己嫌悪。

ドリア三味、一味。

洋食レストランなどのウィンドウを見ると、大抵グラタンがあり、ドリアがある。
ここで気になることが。
シーフードグラタン。
チキンドリア。
こうあるとすると、メニュー的には「シーフードドリア」「チキングラタン」もあるのではないか、という疑惑が生じるのである。
ドリアについてはさほど詳しくないが、両者ほとんど同じ感じで調理される料理であるゆえ、簡単に片方の材料も使えるのでは、と思ってしまうのだった。
しかし、もしそういうことが可能であるなら、このように表記されるはずだ。
シーフード(グラタンかドリア)
チキン(グラタンかドリア)
きつねにおける、うどんかそば。
そんな次元である。
しかし、そんな風に書いてあるのは見たことなく、注文時に確認する勇気もない。
怒られるかも・・・。
どうなんだ。
このように、客を惑わす曖昧な表現はPL法のようなものにひっかかる危険があるため、お店はその点、考慮すべきだ。
「かしこまりました。シーフードですね。グラタンとドリア、どちらも調理可能ですが」
「ドリアでお願いします」
「申し訳ございません。ただいまドリアは切らしております」
・切れているのはドリアではなく、米だろう。米を切らすな、米を。
・そして片方ができぬのなら、聞くな。
・お前はマギー司郎か。
この辺のツッコミも、何らかの法にひっかかる危険がありそうだが。

カウボーイ疾走

近頃、どうにも面白いことを考えたり、喋ったりというのがルーチンで、いけない。
そんなことを半年前くらいから、また思い始めてしまい、その点どんよりだ。
歯も痛いしな。
そんな感じのは、過程は違えど誰にでもあるはずで。
みんなはそいつをどうやってブロッキングしているのか、気になるところ。
ここ2?3日のあいだに、僕の部屋にカメムシが侵入してくる。
そのまま放っておくと、春ごろにカラカラになった彼らを発見することになるため、見かけたら外へ放つようにしている。
ところで、カメムシといったら、危険を感じたとき、くさい臭いを出すことで、若者たちにも知られている。
この習性は、人間のいなかった頃はそこそこ有効な防御術だったろうが、今のご時世では、その点がむしろ人間に嫌われ、いわれなき迫害を受けてしまう。
悲劇の虫である。
おととい、窓をこつこつ叩く音がし、すわ中学校時代の初恋の人が小石を投げているのでは、と覗いてみたところ、カメムシが僕の部屋から懸命に外へ出ようとしていて、そいつが窓にぶち当たるである。
「まさかの内側だよ・・・。」
くさい臭いを放つ彼を素手で持つ理由はない。
ティッシュで彼をつまみ、ほっぽった。
そのあと、軽くティッシュをかいで、どんな臭いなのかを確認しようとしたところ、以外にも何の臭いもしない。
さっき放したカメムシは、臭いを出せないヤツだったのか。
それとも、それほど危険を感じなかったため、出さなかったのか。
事実、僕はやさしくカメムシをつまんだから。
ところが、昨日も同様の件があり、そのときもカメムシはくさい臭いを出さなかった。
僕は確信した。
カメムシたちも「危険が迫ったからくさい臭い」という一連の動作に、嫌気がさしてしまったのではないだろうか。
「もうちょい、何かことのありようがあるはずだ。僕らはもう、やりすぎたし、出しすぎた。」
カメムシも苦労しているのである。

待合室

駅の待合室近くを、親子連れが歩く。
連れとはいっても、親は子供を自由に歩かせていた。
ふと、その子が待合室に入りそうなそぶりを見せる。
それを見た母親が言う。
「たっくん。そこ入ったらばいばいだよ。」
たっくんは、これからどのような人生を送り、どのように待合室と接していくのであろうか。
ともあれ、地獄待合室の誕生である。

教育

スリッパホルダーからスリッパを手に取る。
そのスリッパを床にほうる。
片方がひっくり返ってしまった。
もう片方を履き、そのついでにひっくり返った方を小突く。
ひっくり返ったままだ。
少し強めに小突く。
ひっくり返ったままだ。
足先を引っ掛けて、元に戻そうとする。
スリッパは1mくらい先に行ってしまって、やはりひっくり返ったまま。
こつんと、蹴る。
ひっくり返ったまま。
さらに、蹴る。
まだひっくり返ったまま。
そうして、僕は廊下の終点まで来てしまった。
結局、スリッパはひっくり返ったままだった。
かがんでスリッパを拾い上げ、上下を直して履く。
「・・・教育ってのは、むずかしいものだな。」

裏目ドリブン

運転手が、事件に関わりのある話をする。
主人公が、助手席からそれを注意深そうに聞く。
そんなシーンのあるサスペンスがありました。
でも、
窓の外を流れる風景は、普通乗用車の車高ではない。
助手席から運転席を見るシーンでは、その車を追い越していく、いくつもの乗用車が見える。
すごく、追い抜かれている。
これでは、視聴者としては事件の真相などよりも「あー、トラックの荷台とかに乗せた車での撮影だなー」ということが気になってしまい、事件は迷宮入りである。
「極力リアルな映像にしようと。よかれと思ってやったのに・・・。」
トラックの荷台での撮影をとがめているわけではない。
しかし、本来表ざたにはならないはずのそれが、より意識されてしまうことになった。
裏目に、出てしまった。
電車にて。
開いてる席の向かいの席に、ミニスカートの女性がいました。
なんとなくそこに座ることがはずかしいので、違う場所に移動することに。
結果、誰かに上着を思いっきり下に引っ張られてしまったんじゃないかと思わせるような服装の女性の後ろで、身動きできないことになりました。
やったね!!
いや。裏目に、出てしまった。
なぜ、裏目に出てしまうのか。
何か、物事を裏目にしてしまう何かが、裏で動いているのだろうか。
とここで、今の「やったね!!」ではないが、周りから「あー、裏目に出ちゃったね」と思われることに対して、当の本人の考えや意図は、全くそれとは別のものである、ということに気付かされる。
電車の僕にしろ、周囲は「あいつ、結局すごい背中の人の前に行っちゃったじゃないか」と思っていたとしても、その人たちには僕の考えを確定することはできない。
心の中でよだれを垂らしながら「やったぜ背中。露出。げへへ」となっていないとは、誰も言えないのだ。
冒頭のドラマスタッフだって、実は視聴者に「ぎりぎりトラック荷台の件を気付かせるような映像」を目指していたかもしれない。
監督「見ろ。撮影中で速度が遅いから、後続車にばんばん追い越されている感じに撮れてるぞ」
スタッフ「やりましたね」
そうなると、こちらの「あらあら、裏目ね」という感想が、彼らにとっては最高の賛辞ということになる。
となると、そんな簡単にスタッフを喜ばせたくはないため視聴者としては、気軽に「裏目だね」と言えないことになる。
裏目に、出てしまった。
発言をするときは、よーく考えるべきだ。
こういうときによーく考えて行動しないと、それは相手の思うつぼになりがち、ということであり、これからの人生、軽犯罪に巻き込まれる可能性が高い、とも言える。
ところで今回、電車の話以降はいらなかった。ちょっと短いから、無理に入れたのだが、面白くないね。
・・・、・・・・・・。

明るい未来

「明るい未来を切りひらく」という言い方がある。
会社のパンフレットなどにありそうだが、少々古臭い感じも。
これを「うまいこと言っているね」とみんなが思うためには、それぞれ1.5リンネくらいを、みんな経験しなくてはならないだろう。
※リンネ:
輪廻転生の単位。
1リンネ=まちまち。
さて、この言い方で、わからないことがある。
それは「切りひらくのは何か」ということだ。
不思議な言葉だ。
言いたいことは「明るい未来が訪れます」みたいなことだと思うが一方、それを切りひらきますと言っているのだ。
・何かを切りひらくと、明るい未来が手に入るのか。
・明るい未来を切りひらくと、何かが手に入るのか。
どっちのことを言っているのだ。
前者の場合、問題は「切りひらく対象」の正体である。
明るい未来が手に入るなら、かなり貴重なものでも切りひらいてよいだろう。
となると、関さばが正体である可能性が、濃厚だ。
やはり、切りひらくと言ったら、魚である。
また、関さばはなにやら貴重と聞いたことがあるし、同様に価値の高い本マグロなどだったら、切りひらくではなく、解体という言葉を使っていたはずだからだ。
「明るい未来を解体する」
うーん。関さばの方だね。
一方、後者の場合、問題点が2つある。
・何が手に入るのか。
・「明るい未来」を切りひらくには、どうしたらよいか。
何が手に入るかは、明言されていないため、なんともわからない。
例えば、会社のパンフでこの言い方が使用されていたとしたら「明るい未来を切りひらいたら、本社がありました」というのが、いいか。
しかし「明るい未来を切りひらいたら、うちの社長がいました」とまできたら、少々めんどくさい。
社長、出たがりすぎるじゃんと思う。
また、この問題については、見方を変えると「とりあえず切りひらくだけで、特に何も手に入りません」という解釈も可能ではある。
だが、こうなる。
「明るい未来を切りひらく」
「とりあえずそれは置いといて」
これでは、彼の明るさが逆に悲しすぎる。
ここでなんと、一つ目の問題が解決しないまま、もう一つに進むが、「明るい未来」を切りひらくというのも、なかなか珍奇である。
どうすればいいのか。
まず、触れるのか「明るい未来」。
これまたどうにもアプローチしにくい問題であるが、その分、色々試してみる価値があると言える。
南蛮漬けに使用する小あじに「明るい未来」を混ぜておく、というのはどうだろう。
※さっそく「明るい未来」が触れるかどうかが超重要になるが、少なくとも文章として表すことはできたので、勘弁してもらいたい。
小あじに「明るい未来」を混ぜておいた場合、知らないうちに以下のような順で切りひらきが行われるはずだ。
小あじ

小あじ

小あじ

明るい未来

小あじ
明るい未来を切りひらいたあなたは、こう思うはずだ。
「知らない間に、切りひらいていました」
方法なんてわからなくていい。
切りひらけたのだ。
素直に喜ぼう。
しかし、このような方法を行う場合、小あじではなく、いきなり明るい未来を手にする可能性も否定できない。
明るい未来

小あじ

小あじ

小あじ

小あじ
そのとき、明るい未来のことを意識してしまうと、思うように手が動かなくなるかもしれない。
極力、明るい未来のことは忘れたほうがいい。
・・・
結局なんら解決しないまま、終わってしまうことが特に残念ではないが、今回の身のない話で、以下の2つの捕らえ方、それぞれにメリットがあることがわかった。
・何かを切りひらくと、明るい未来が手に入るのか。
→関さばさえ手に入れば、明るい未来が手に入る。
・明るい未来を切りひらくと、何かが手に入るのか。
→いきなり明るい未来を手にする可能性がある。
一長一短だネ。

無弦乃奏器

今、思ったんですけど。
自動ドアって、ありますやん。
あれな、上のセンサーから光が出て、その光の反射具合の変化で人がきたかを判断して、開く仕掛けのヤツもあるらしいで。
そんな装置をずらりと横だか円状に並べて、変化したら音が出るようにすると、楽器になりそうじゃない?。
また、ある波長の送信装置と受信装置を対にして、やっぱり並べて。
遮って受信装置が波を受けられなかったら音が出る、とかも面白そうじゃない?。
弦のない弦楽器みたいで。
もうあるかも。
だけど「もうあるかもしれない楽器を探す」って、難しいし。
テルミンっぽいかもだけど、そんなこと言っても、困るし。
何が困るかって。
テルミンがどんなものか、いまいちわからないとこだし。