付箋

「内容が既に印字されている付箋」に、どれほど需要が見込めるのか、気になってきた。
16:00 佐竹さん 折り返し
これが印字されているのである。
「わざわざ書かなくてもいい」というメリットを遥かに凌駕する「どこで使うんだ感」。
商品名はもちろん「16:00 佐竹さん 折り返し」であって、はんこ以上にターゲットが狭い。
もちろん、「印字されている」という点だけ鑑みれば、おばあちゃんのまめ知識や著名人の格言。
それらが付箋下部にあるというのは、あり得そうな話だ。
しかしそんなぬるま湯の考察ではなく、もっと攻めてみたい。
となると、どうしても避けられないのが「付箋に書かれそうな事」の統計。
例えば「ごっつあんです」というセンテンスはかなり「付箋に書かれなさそう」だ。
同様に「付箋無駄遣い禁止」や「拝啓 お元気ですか」、「僕の考えたロックマンのボスキャラ」なども書かれないだろう。
そうやっていくと、おのずと「そこそこ需要のある印字付箋」にたどり着くのではないか。
と、実は僕は「自分の名前を印字」は結構いいのではないかと考えている。
で、今調べてみると、付箋の印字サービスや付箋プリンターなどがありそうだ、なんだ、みんなもう考えていたのか、の感。

ナオトのカタカナ語化力

このあいだテレビを見ていたら、こんなテロップが出ていた。
「ナオト・インティライミ、フェスでのルール」
もう、「での」もカタカナであってほしかった。
そんな気にさせる日常の一コマ。
しかし考えてみると、このような「もう少しでフラッシュ」という事柄は日々、頻出しているのではないか。
「ユースケ・サンタマリアってマジ仏」
あー頻出しないほう選んでしまった。
また、ご覧のように「仏」を「イム」と読ませようとしているあさはかさ。
ヨクナイ。

謎の手品用品ベスト10

謎の手品用品ベスト10
手抜きでやっています。
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手品商品ショップの店長さん内で回し読みされている。
「とりあえず仕入れてみたけど、これ何に使うんだろう」と思っている納品物が特集された雑誌を入手しました。
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「月刊 でっかくなっちゃった 11月号」
仕入れた店長が不思議がる!!
「これはいったい何の手品に使うんだ」ベスト10!!
10位
もう花束に変化済みのステッキ
9位
反対巻きなると
8位
穴を塞いだ模造50円
7位
UNO
6位
誰かのデスマスク
5位
開けた途端に閉じていくジッパー(120円/m)
4位
見た目がわさび風歯磨き粉
3位
青い血のり
2位
ペプシ入りコーラ
1位
手書きで円周率が書かれた写経用紙
UNOを使った手品を知りません。

ふとんのシーツがよじれていることで怒るような器の小さい人間ではなく、よじれが体に当たる事を気にせず寝られるような器の大きい人間でもないため、結果ちょうどの器の僕が来ましたよ。
これを1時間半遅れた飲み会で開口一番言おうと思っていたら、「よじれ」のところでかんでしまった。
忙しさであまり会話していなかったためか、「口の凝り」が出てしまったようだ。
もちろん、上記の抱腹絶倒ネタはその艶を失い、むしろ「そのとおりだね」と一蹴されてしまった。
まあそのあと僕の取り皿がなかったのが幸いしましたけど。

かすみ

目の前にある、飲んだら体に悪そうな発色の目薬にはこう書いている。
「目のかすみ」
これまで全く「目のかすみ」について気にしてこなかったが、果たして僕は「目のかすみ」状態にあるのかどうか、不安になってきた。
別に、「目のかすみ」状態でないときにこの目薬を使用すると目玉が破裂する、などということはないだろう。
僕が心配なのは「僕の目のかすみは、ちゃんとみんなの目のかすみと同じ症状なのだろうか」という点。
結局、当人でなければ分からないのである。
「目がかすむ」というのが、人によってはぼんやり見える事。
ある人は霧がかかったように白いフィルタがかかる事。
像が歪んで見えにくくなる事。
目にゴミが入ったときの事。
また、目よりも優れた器官が突然人間に備わったため、目があまり必要なくなった事。
「いやーポッサ肢(※)がすごく便利過ぎて、目がかすむわー」
どうなんだ。
俺はちゃんとした目のかすみなのだろうか。
とりあえず「ドラえもん、おばあちゃんのやつ」を読んで心の汗を出し、目を見えにくくしてみることにする。
※ポッサ肢
人間に突然備わった、目よりも広範囲の可視域の器官。
鼻の毛穴に埋まっていて、毛穴すっきりパックでよく取れる。

座席

つくばエクスプレスに乗る機会があるのだが、何か座席が垂直な気がする。
座っている人がみんなシャンとしているように見える。
それはいいのだが、ちょっと居心地が悪い気がする。
なぜなのか。
ただ、考えてみるとあまりに居心地いい風に作ると眠たくなる。
眠るのは仕方がない一方、恐ろしく睡眠を促すようなものでも、寝てない人に寄っかかったりして困る。
また、眠らないにしても、居心地いい風過ぎるのも困る。
人は居心地いいと、緩んでしまう。
一般的に人は緩むと、あくびを隠さない、あぐらをかく、みかんの皮をむく。
あるいは大きな声で喋る、財布の中身をばーっと出す、口を半開きにして中空をうつろな目で見る。
あまり人としてはよくない。
そう考えるとつくばエクスプレスの座席は、より人を乗せたいと思っているのかも知れない。

スパイは老人に限る

スパイは老人に限る。
「なんでです?」
今のスパイには身体能力なんていらないのよ。
技術とコミュ力。これだけあれば。
「でもほら、なんかもう悟っちゃってるから、国際情勢とか重視しないんじゃ?」
「残りの人生を楽しむ、なんて考えもあるし」
いや、逆だよ。
愛国心もあるし、むしろ最後は一花咲かせたい、誰かの役に立ちたいなんてあるし。
線香の煙越しの遺影からは、それほど意識の強いような印象は受けない。
「どちらにせよ、もうあのファイルのコードは分からなくなってしまいましたね」
「彼にしか分からない」
そうだね。
でも、老人は死を恐れない。
一番安心して任せられる人材だったよ。
それに、うん。
こうして挨拶に来たのは間違ってはなかったようだよ?
ほら。
「位牌長っ!!」

出迎え

深夜に帰ってくると、ねこがすごい勢いで玄関まで出迎えてくれる。
うれしい反面、一目僕の顔を見るとなんだか落ち着き、Uターンしていく。
あれは一体なんなんだ。
思いつくのが「知らない人来た!!」説で、うちのねこどもはほぼ全員人見知りが激しい。
来客があると、僕らも知らないような隙間や影、異次元へ身を隠す。
どうも彼らなりの「ここは安全だ」という場所があるらしいのである。
であるからして、夜中に誰かが入ってくるとなると一大事である。
斥候が来ても不思議ではない。
そう考えると、身内であると認識して去っていく彼彼女を見て「身内と認識してくれたな」と喜ばしい一方、せっかくだから出迎えてくれよと文句もいいたくなる。
しかし、出迎えてくれるのは彼らではなく、彼らがいつぞやか催した廊下の嘔吐物だけである。
妙にカリカリ臭う廊下を慎重に通過し、居間にたどり着くと、いくらかのねこがひっくり返っている。
それを見るといつも思う。
俺は深夜に、どこに来てしまったのだろう。

試食

ちょっとしたズボンなどを買うと、何やら後ろのポッケにふくらみがある。
さてはあのカリスマ店員さんが俺にほの字で、恋文でも入れ込んだかと手にしてみると、覚せい剤が入っていそうな透明パックにズボンの生地の一片。
あれを、僕は「このズボン、こんな生地使ってます」という、いわば「試食」みたいなものなのだと思っていた。
メーカーさんが店に提示するもの。
だから、「何だ試食のやつを店員さんが取り忘れる」なんて思っていたのだが、実はあれ、どうやら「衣類に穴が空いてしまったときの修復のもの」らしい。
なんだ、用途を書いた紙を一緒に入れてくれていればいいのに。
「穴が空いたときにお使いください」と。
「わたし、あのカリスマ店員なんですけど、あなたにほの字です」と。