スパイは老人に限る

スパイは老人に限る。
「なんでです?」
今のスパイには身体能力なんていらないのよ。
技術とコミュ力。これだけあれば。
「でもほら、なんかもう悟っちゃってるから、国際情勢とか重視しないんじゃ?」
「残りの人生を楽しむ、なんて考えもあるし」
いや、逆だよ。
愛国心もあるし、むしろ最後は一花咲かせたい、誰かの役に立ちたいなんてあるし。
線香の煙越しの遺影からは、それほど意識の強いような印象は受けない。
「どちらにせよ、もうあのファイルのコードは分からなくなってしまいましたね」
「彼にしか分からない」
そうだね。
でも、老人は死を恐れない。
一番安心して任せられる人材だったよ。
それに、うん。
こうして挨拶に来たのは間違ってはなかったようだよ?
ほら。
「位牌長っ!!」

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