2132年

近年問題となっている「攻撃性香水」の対抗する新薬について
攻撃性香水とは、従来の香水に「強力な媚薬効果」を持たせたものです。
媚薬は人類のテーマとも目されるほどその研究が盛んなものでしたが、5年前に完璧な媚薬効果を持つ物質が単離され、強力な媚薬が女性側、男性側ともども開発されることとなりました。
しかしその強力さゆえ、ゆきずりの恋が多発、社会問題にまで発展しています。
それを受けて3年前に我が社が開発したのが「対香水性香水」です。
これは「攻撃性香水」の媚薬成分に結合し、その効力を押させる働きを持つ粒子を含んでいます。
よって、香水に惑わされることがなくなります。
この機能により、商品は製造が追いつかなくなるほどの人気商品になっています。
しかし問題が発覚しました。
こちらをごらんください。
我が社3年間の結婚した人の割合です。
4年前までより3から4割、今年に至っては5割低下しています。
ここから推測されることは「対香水性香水」は人間本来が持つフェロモン、あるいは魅力自体すら減損させている可能性です。
そのような効用は商品としてはうたっておりません。
これが現在の問題です。
いかがしましょう。
社長「なんだ。むしろ売り口が増えるじゃないか」

中央

結構文庫本を読むのだが、1ページの文章の配置を中央にしたら面白そうだと考えている。
密度の濃いページはほとんど代わり映えしないだろう。
しかしちょうど物語が終わり際。
そのため1行だけページが変わるときだと、それがさもすごく意味ありげな1文に見えそうだから。
たまたま見つけた文庫本で「1行だけのページ」がなかった。
あんがいこういうのは作家も出版社も気にしているのかもしれない。
「このページ、1行しか書いてないから、その分安くなるでしょ?」
仕方がないのでセンター1行だと面白そうな文を探してみた。
「前から知ってたけど」
そうか、前から知ってたのかーと思いが広がる。
「ってきていて」
それ以上でも以下でもない内容どころか、意味を失ってしまった分。
しかし中央に1行だけだと意味深。
もはや芸術性すら感じる。
それにしても小学校の頃「行の最初に小さい「つ」を持ってこないようにする」という教育を受けたような気がする。
この文庫本はいったいどうなってんだ。
「都度答えた」
これが1行、中央にあるページってすごい。
官能的だ。
そして食いつく。
「都度!!」
「捨てたりしていた」
今では省エネのことを考えずにはいられない。
こんなことしてないで、パソコンも消すか。

全然すっきりしない。

フリスクの出口横の小部屋についてでも書こうと思ったら、すごくいろんな人が気にしているようだ。
ならもういいか。
十分だ。
だから「一般的な日常生活で、ミサンガを編む方法」とかを考えるか。
まず思いつくのが「長い糸を前で交差させてその端を両手で持つ。その状態でラジオ体操をすると、第二終わりには右腕にミサンガができている」とかだ。
すごくいいが、ちょっと動作が足りないかもしれない。
動作が足りないのならもっとラジオ体操をすればいいのだが、度を超えたラジオ体操はもはや主張だから、やりすぎには注意だ。
なんたってその主張はミサンガ関連になるわけだし。

劣化はひどく、自然なこと。

「君んとこのホームページさ、遺伝学のことがくわしくて、すげーレポート書くときに便利なんだけどさ、なんかこう、字が読みにくいんだよね」
「これってブラウザのせいとかだったりするの?。そういうことあるのか知らないけど」
たぶんそこ、テストに出そうな、重要なところだろ。
「そう、そうなんだよ」
どうもそういうのってみんな欲しいから。
コピペのやりすぎでそうなるらしいよ。

遠投

メモに「カメを遠投」と書いてあった。
最近忙しくはあるので、そういうことがメモにあることもあるだろう。
ただ、今このメモをいかがわしく感じるのはカメのスタンスを僕が好んでいるからだけど、少なくともメモったときは何かしら思うことがありしたためた。
そのはずなんだ。
マリオだろうか。
マリオは確か、第3作で初めてカメを持つことができた。
そしてシュート!。
遠投と言えなくもない行動をする。
いや、なんか違うな。
違う。
そうだ。
遠投されるカメの気持ちが気になったような。
カメに「遠投されてる」と思わせる遠投が、本当の遠投だ。
そう思ったのだ。
こういうのもあったかもしれない。
例えば円盤投げ。
あれは槍投げとかと同様、投げた直後に「遠くへ飛べ」を意味しなくもない叫びを発する。
ここで、投げるのが円盤だったら、円盤自身は「遠くへ飛ぶすじあい」はないだろう。
動力を持たないし生き物でもないから、あくまで遠投者の実力を素直に示すだけだ。
しかしカメならどうだ。
生きているのだから、もしかしたら遠投者の「遠くへ飛べ」を感知できるかもしれない。
それは、カメの素質にもよるだろうが、「遠くへ飛ぶすじあい」が発生する可能性を示唆している。
そのとき、70mあたり先を目指して落下しつつあるカメは、どんな行動をする、あるいはしないだろう。
メモを見ながら、「生き物だったら感知できるかも」というところに分の悪さを感じた。
なにせ、マリオはカメを踏んでは投げ踏んでは投げしているし。

安全喪失感甘受

何となく「ツタの絡まる電車」のイメージが出てきた。
映画か何かであっただろうか。
まず、涼しそう。
流行のグリーンカーテンっぽいし。
そして走りにくそう。
そもそも走れるだろうか。
そして走れたとしても、ツタが車体から外れそう。
そのさまは「襲ってきたツタのトンネルからどうにか出てこれた電車」みたいになるかもしれない。
と、実用面はさんざんだけれども、見た目はなんかいい。
いつぞや書いたことあるかもしれないが、僕は人工物が自然のものに囲まれる、あるいは浸食される。
そういうイメージに弱い。
群青学舎という漫画がある。
これの、ある回の場面がいい。
教室が草花で覆われるそのシーンは、もし誰かがこの漫画について僕に尋ねてきたとき、こう答えさせるに十分な印象を与えた。
「僕にとって群青学舎とは、1巻の20、21ページの見開きです」
「僕にとってパンチパーマとは、ホコリ髪の毛を絡めとる常備型クイックルワイパーです」
他にもそういったものはある。
古いところだと「猿の惑星」か。
何気にちゃんと見たことないかも知れないが、ラストに例の人工物を見いだして「ここ地球じゃん」が判明するシーン。
別に伏せなくてもよかったが、とにかく人工物が埋まっていてくれてよかった。
ちょうどの埋まり具合なんだ、あれ。
あれ以上埋まっていても、より出ていたとしても僕の「人工物が自然のものに浸食される」感覚は反応しなかっただろう。
ほんと、ちょうどだあれ。
最近だと、ラピュタの空中都市もそうだし、ファイナルファンタジーの10あたりでも荒廃した都市が出てきた。
世界樹の迷宮ではビルが緑まみれだったし、こないだいった北海道では錆びた鉄桶に守られるようにたんぽぽが一輪咲いていた。
全然読まないが、ローテクノロジーを扱ったSFなどにも垂涎のシーンがありそう。
廃墟の好きな人がいるが、それと似たようなことかもしれない。
廃墟に出向かない分、よりお気楽な喪失感甘受とも言えそうだが。
では最後、廃墟の好きな人へ。
「廃墟に行くときは猿の惑星の猿を。彼らの足は、ホコリ髪の毛を絡めとる常備型クイックルワイパーです」

浸透圧と匠。

手作りジャムと聞けば「ジャムが入っている瓶も手作りなのかよー」と恋する中2、いやカレーのオカワリを狙って早食いする小4、居間にあった週刊誌で初めて異性の裸を目の当たりにした小3。
いや申し訳ない、足して9となる子供たちに。
僕も経験がある。
恐ろしい性質の挑発行動を。
まあそれはいいとして、瓶はたいてい手作りじゃないだろう。
例えどこかの匠の、持ちやすさ抜群の瓶だったとしても、例の「手作りなのかよー」は、その材料から元素、さらには分割不可能なつぶつぶにまで続いてくだろう。
ここで「手作りなのは、せいぜい我々、生物だけだ」ともなれば締まるのだろうが、ざんねん。
どうもそうではないらしく、君や僕をどれほど細かく砕いても上記の手作り呪縛からは逃れられない。
思うに、元素だとか原子だとか、かなりちっこいものが認識され始めてからそう遠くないころ、人々は思いのほかロマンを感じたのではないだろうか。
今食べたパンの中に、いにしえの聖者が食したパンの一部が含まれているのではないか。
窓から入ってくる風、マドンナのにおいがする!!。
お前、よくみたらフカキョンにそっくりだな。
宇宙が昔あっつあつだったとか、今でも広がっているとかのマクロロマンに勝るとも劣らないロマン。
そして今、その手のつぶつぶが、どれほど地球の重力に打ち勝ち宇宙へ放たれていくのか。
あるいは宇宙から地球にどれほどのつぶつぶが降り注いでいるのか。
そんなことに思いを馳せ、行き来するつぶつぶへメッセージのひとつでも託したいと思っただろう。
「これを作った人に、いい仕事してるって言っておいてください」

味玉ジェネレーション

「このからあげ、味がよくしみ込んでいておいしいね」
「味玉だったんだろ」
僕としては、ここからである。
例えば飲んだ後の定食屋でのことだったとする。
ここからどうなるか。
理科を思い出してもらいたい。
確か鶏卵の黄身はひよこではなく、養分だったはずだ。
そして味玉で一番味がついていそうな白身。
これもひよこではない。
生卵を割ったときの、黄身に点とついているものがある。
胚と呼ばれるそれが、ひよこになる権利を持つものなのである。
つけだれに漬けたとしても、成鳥に味なんかつくものか。
味玉でも、こんな立派な鶏肉にまでなれるのか。
その鶏が生んだ卵は、何もしなくてもうっすいだし巻き卵になるんじゃないのか。
とりあえずラーメン屋の味玉に「胚」を探そうとする自分を思い、ゆっくりと箸を置く。
そうなるとボケた甲斐があったというものだが。

本のあらまし。

「あ、ばあちゃん?。オレオレ」
「はい、どなたですか」
「ああオレだって」
「・・・へえ、ゆかりんとこの?」
「そうオレ」
「どうしたんだい、久しぶりじゃあないの」
「そうなんだけど実は、ちょっと困ったことになっちゃって」
「なんだい」
「実は今、ちょっと交通事故起こしちゃって」
「ええ、体は大丈夫なのかい」
「ああ、オレも相手も大丈夫なんだけど・・・」
「どうしたんだい」
「ちょっと車の方をずいぶん壊しちゃったんだ」
「へえ」
「そして示談ってことになったんだけど、今お金なくて」
「たいへんだねえ」
「で、お金貸してくんない?」
「いやだねえ」
「え。いや今かなり緊急なんだよ。口座に20万円振り込んでくれればいいから!」
「いや、だめでしょう。ほら今、詐欺みたいなものもあるじゃない」
「急ぎなんだってば!」
「いやいやいやいや。事故も示談も本当かもしれないけど、あんたの電話、テレビで見た詐欺の手口と同じだもの。怖いわよ」
「だからゆかりんとこの息子だって!」
「ほら名前言わない。しゃべり方も違うような気がするし、声紋も違うんだろうねえ。たぶん指紋も顔つきも、たかしとは違うんだろうね」
「ほら、たかしだって」
「いやいやいやいや。もう警察に相談しようかねえ」
「あら、切れちゃった」
「どちらにせよ、詐欺にあわなくてよかったわ」
「入金を拒否しつづけられたのも、あの本のおかげね」
のんのんばあとオレ

チョコミントについて。

サーティーワンのアイスがトリプルになるとくれば、心配なのは1個目と2個目、あるいは2個目と3個目の接合部分の混じりゾーンのところだ。
これが例えば、バニラとチョコだったらまだいい。
しかしフルーティなやつとチョコミントだったらもう食べる気失せる。
そもそもチョコミント自体が混ざっちゃいけない2トップが混ざっているだろう?。
だから、フルーティなやつとチョコミントの接合部は、もう混ざり過ぎだ。
しかも一番上がチョコミントだったら、どうしよう。
一番上から垂れるわけだから、他2つが汚染されてしまう。
逃げろ!!。
でも逃げてもアイスは手に持っている訳だから、逃げても逃げても逃げ切れない。
僕は今でもチョコミントから逃げ切れてはいる人生なのだが。