浸透圧と匠。

手作りジャムと聞けば「ジャムが入っている瓶も手作りなのかよー」と恋する中2、いやカレーのオカワリを狙って早食いする小4、居間にあった週刊誌で初めて異性の裸を目の当たりにした小3。
いや申し訳ない、足して9となる子供たちに。
僕も経験がある。
恐ろしい性質の挑発行動を。
まあそれはいいとして、瓶はたいてい手作りじゃないだろう。
例えどこかの匠の、持ちやすさ抜群の瓶だったとしても、例の「手作りなのかよー」は、その材料から元素、さらには分割不可能なつぶつぶにまで続いてくだろう。
ここで「手作りなのは、せいぜい我々、生物だけだ」ともなれば締まるのだろうが、ざんねん。
どうもそうではないらしく、君や僕をどれほど細かく砕いても上記の手作り呪縛からは逃れられない。
思うに、元素だとか原子だとか、かなりちっこいものが認識され始めてからそう遠くないころ、人々は思いのほかロマンを感じたのではないだろうか。
今食べたパンの中に、いにしえの聖者が食したパンの一部が含まれているのではないか。
窓から入ってくる風、マドンナのにおいがする!!。
お前、よくみたらフカキョンにそっくりだな。
宇宙が昔あっつあつだったとか、今でも広がっているとかのマクロロマンに勝るとも劣らないロマン。
そして今、その手のつぶつぶが、どれほど地球の重力に打ち勝ち宇宙へ放たれていくのか。
あるいは宇宙から地球にどれほどのつぶつぶが降り注いでいるのか。
そんなことに思いを馳せ、行き来するつぶつぶへメッセージのひとつでも託したいと思っただろう。
「これを作った人に、いい仕事してるって言っておいてください」

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