本のあらまし。

「あ、ばあちゃん?。オレオレ」
「はい、どなたですか」
「ああオレだって」
「・・・へえ、ゆかりんとこの?」
「そうオレ」
「どうしたんだい、久しぶりじゃあないの」
「そうなんだけど実は、ちょっと困ったことになっちゃって」
「なんだい」
「実は今、ちょっと交通事故起こしちゃって」
「ええ、体は大丈夫なのかい」
「ああ、オレも相手も大丈夫なんだけど・・・」
「どうしたんだい」
「ちょっと車の方をずいぶん壊しちゃったんだ」
「へえ」
「そして示談ってことになったんだけど、今お金なくて」
「たいへんだねえ」
「で、お金貸してくんない?」
「いやだねえ」
「え。いや今かなり緊急なんだよ。口座に20万円振り込んでくれればいいから!」
「いや、だめでしょう。ほら今、詐欺みたいなものもあるじゃない」
「急ぎなんだってば!」
「いやいやいやいや。事故も示談も本当かもしれないけど、あんたの電話、テレビで見た詐欺の手口と同じだもの。怖いわよ」
「だからゆかりんとこの息子だって!」
「ほら名前言わない。しゃべり方も違うような気がするし、声紋も違うんだろうねえ。たぶん指紋も顔つきも、たかしとは違うんだろうね」
「ほら、たかしだって」
「いやいやいやいや。もう警察に相談しようかねえ」
「あら、切れちゃった」
「どちらにせよ、詐欺にあわなくてよかったわ」
「入金を拒否しつづけられたのも、あの本のおかげね」
のんのんばあとオレ

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