つくばエクスプレスに乗る機会があるのだが、何か座席が垂直な気がする。
座っている人がみんなシャンとしているように見える。
それはいいのだが、ちょっと居心地が悪い気がする。
なぜなのか。
ただ、考えてみるとあまりに居心地いい風に作ると眠たくなる。
眠るのは仕方がない一方、恐ろしく睡眠を促すようなものでも、寝てない人に寄っかかったりして困る。
また、眠らないにしても、居心地いい風過ぎるのも困る。
人は居心地いいと、緩んでしまう。
一般的に人は緩むと、あくびを隠さない、あぐらをかく、みかんの皮をむく。
あるいは大きな声で喋る、財布の中身をばーっと出す、口を半開きにして中空をうつろな目で見る。
あまり人としてはよくない。
そう考えるとつくばエクスプレスの座席は、より人を乗せたいと思っているのかも知れない。
月: 2013年4月
引き潮
リステリンを10分ほど口に含んでからそれを吐き捨て、麦茶を飲む。
すると、麦茶の味が変に感じた。
詳細は不明だが、おそらくリステリンの強度により口内が変化。
味の弱いものはその余韻に負けてしまうのだろう。
僕は麦茶が飲みたかったのだが、余韻に負けた麦茶は形容しがたい、腐ったのかと勘違いしてしまいそうなくらい、いままで飲んだ事のない何かになってしまった。
リステリンが引くまで、待つべきなのだろうか。
それとも強い麦茶を探しにコンビニまで行くべきなのだろうか。
確か、釣瓶がCMに出ている麦茶はカフェインゼロだった。
おそらくだが、強い麦茶はカフェインがたくさん入っているだろう。
ベリベリカフェイン。
見た事がない。
スポーツ飲料っぽい「DA・KA・RA」という銘柄の仲間として「やさしい麦茶」というのも販売されていた。
もうこれは強くない。
せめて「DA・KA・RA」が「KA・RA・DA」だったら、何か強そうな気もするのだが、惜しい。
こんなアナグラムを許容するのなら、可愛らしいCMの幼女も「ムギちゃん」ではなく「ギムちゃん」と変換されてしまい、何だか税務署の萌えキャラの様相。
「義務ちゃん」は何となく「義務じゃん」のように考えられ、それは「納税、義務じゃん。ちゃんとしなよ」冷たくあしらわれているようで、ある意味強い。
と、そうこうしているうちに、リステリンは引いてゆくのでありました。
スパイは老人に限る
スパイは老人に限る。
「なんでです?」
今のスパイには身体能力なんていらないのよ。
技術とコミュ力。これだけあれば。
「でもほら、なんかもう悟っちゃってるから、国際情勢とか重視しないんじゃ?」
「残りの人生を楽しむ、なんて考えもあるし」
いや、逆だよ。
愛国心もあるし、むしろ最後は一花咲かせたい、誰かの役に立ちたいなんてあるし。
線香の煙越しの遺影からは、それほど意識の強いような印象は受けない。
「どちらにせよ、もうあのファイルのコードは分からなくなってしまいましたね」
「彼にしか分からない」
そうだね。
でも、老人は死を恐れない。
一番安心して任せられる人材だったよ。
それに、うん。
こうして挨拶に来たのは間違ってはなかったようだよ?
ほら。
「位牌長っ!!」
星座占い
朝の星座占いを見る度に、13番目の星座があればな、と思う。
それは昔あったへびつかい座のことではない。
「ファービー座」とか、実際にはない星座でいい。
そしていつも13位。
最下位を陣取ってもらうのである。
人々の業を全て引き止めてくれるだろうファービー。
たぶん電池足らない。
出迎え
深夜に帰ってくると、ねこがすごい勢いで玄関まで出迎えてくれる。
うれしい反面、一目僕の顔を見るとなんだか落ち着き、Uターンしていく。
あれは一体なんなんだ。
思いつくのが「知らない人来た!!」説で、うちのねこどもはほぼ全員人見知りが激しい。
来客があると、僕らも知らないような隙間や影、異次元へ身を隠す。
どうも彼らなりの「ここは安全だ」という場所があるらしいのである。
であるからして、夜中に誰かが入ってくるとなると一大事である。
斥候が来ても不思議ではない。
そう考えると、身内であると認識して去っていく彼彼女を見て「身内と認識してくれたな」と喜ばしい一方、せっかくだから出迎えてくれよと文句もいいたくなる。
しかし、出迎えてくれるのは彼らではなく、彼らがいつぞやか催した廊下の嘔吐物だけである。
妙にカリカリ臭う廊下を慎重に通過し、居間にたどり着くと、いくらかのねこがひっくり返っている。
それを見るといつも思う。
俺は深夜に、どこに来てしまったのだろう。
もなか
このあいだ(2014年7月)、テレビを見ていると「キャプテン翼もなか」というのがやっていた。
おそらくキャプテン翼に何かしらゆかりのある場所なのだろう。
もなかに「キャプテン翼」のキャラクターが焼印されていた。
こういった商品を目にする度にどうしても考えてしまうのは「もう少し何かできないか」である。
仕方ないのだ。
生産性を損ねる訳にもいかないだろうから、形を翼君にする訳にもいかないのだろう。
そもそも「もなか」では翼君のシャープな髪型や手足先などを表現するのにも限界がある。
ただ、焼印かー、と考えてしまう。
要は、翼君のかわりにサザエさんが焼印されたら、そのもなかは「サザエさんもなか」に変わってしまうのである。
少し、節操なさを感じてしまう。
僕が危惧するのは、この流れが許容されてしまうとなると、もっと節操ない「もなか」が出てくるのではないかという点だ。
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あだち充 出身地名物
「かずやもなか」
「たつやもなか」
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これはかなり節操ない。
ゆるゆるである。
しかし現在、これほどではないにしても似たような方法で節操ない事になっている例は多いのではないだろうか。
恐ろしい事である。
現在、おそらく「かずやもなか」「たつやもなか」はないと考えている。
今後作るのは結構な事なのだが、せめて「かずやもなか」には享年を印字するという「もう少し何かできないか」に対する姿勢を見てみたい、と考える者である。
フットサル
フットサルというスポーツは非常に疲れる。
狭いながらも楽しくないフィールドを、終始ボールを追っかけているような状態が何分も続く。
そんな僕を見たある人は、それを「犬」と形容した。
確かに、河原でボール遊びしている犬は終始ボールを追っかけている。
休憩時間、へとへとになりながらも、「もしかしたら定石のようなものがあるのではないか」と考えるようになった。
他の人は、動きつつも僕ほど疲れてはいないようだった。
これは身体能力の差か、あるいは待つ戦法など、知っておくべき何かがあるのかもと思った。
このときの僕を形容するとなると「定石を知らない犬」となるだろうか。
これは、考えようによっては妙にハードボイルドな雰囲気をかもし出す。
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「あいつに関わると、ろくな事はないぜ」
「何せ、あいつは定石を知らない犬だからな」
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だが、もう少し情報を付加すると、こうなってしまう。
「定石を知らない河原でボール遊びしている犬」
これは完全に河原でボール遊びをしている犬であって、ハードボイルドではない。
かめに陸地を作る。
飼っているかめがときどき、陸に上がって甲羅干ししているのを見かけたことがある。
なので、ちゃんとした陸地を水槽内に作ることにした。
といっても陸地としてはちゃんとしていると言っていいのか。
100円均一で購入したカゴと人工芝をくくり付け、「上は人工芝で、下はそのままシェルターになっている」ようなものである。
こちらの「黄色のポップなシェルターに身を隠してくれるか」という心配をよそに、カゴの中に入ったり陸に上がったりと気に入ってもらえたようす。
それにしても、カメは何を考えているのか全然わからない。
人が寄れば、じたばたするだけだ。
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前足を前に出すと1。
後ろに下げると0。
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この連続を2進数から文字コードとして解読するとお経になっている。
じたばたも、そんな事があるかも知れない。
やや「足を前に出したあとは高確率で後ろに下げるのではないか」という気になる点もあるが、やってみなくては分からない。
やりませんが。
スイカバー
チョコレートは溶けてるっぽい状態が一番おいしいと考えているため、本当に「スイカバー、種を表現したチョコ」には閉口する。
何を考えているのか、と思う。
オリジナルであるスイカだって、種は捨てる部分じゃないか。
種無しでいいじゃないか種無しで。
怒りの収まらない僕は、近くの湖までドライブすることにした。
スイカバーを志村けんが食べたらどうなるのかな。
種の部分は食べる方?飛び散る方?。
未熟な種を表現するためにホワイトチョコも入れたらいいのに。
スイカバーを集めて球状にできないかな。
湖について、ダムや貯水の事を教えてくれる小さな博物館を歩いていると、怒りは疑問へと変わっていく。
鮎の産卵を紹介したコーナーでその疑問は一つになった。
「なぜ生物は生き、子孫を残し続けていくのか」
答えはともかく、なんとなく「種はないと困るな」と帰路につく。
コルヒチン処理で染色体異常のスイカが少しかわいそうな気がするし、一方で遺伝子操作されたコーディネーターはむしろ種できちゃったみたいと、遺伝子と種の関係は複雑すぎて、帰路また怒りが湧いてくる。
そういうことで僕は、少しだけ遠回りして帰る事にしたのである。
午前4時まで死神受付中。
気分がすぐれず眠れない夜は、椅子が気を使って僕の尻の下に滑り込み、机に突っ伏す先に眼鏡がスタンばり、結果本を読んだりする。
という快適な家ではないため、あちいと口にしながらクーラーをつけ、麦茶を飲んだりする。
最近、暑い。
屋根が近い事もあってか、断続的に暑い。
地獄だ。
「あつっ」と瞬発力のある暑さでないため、何か僕でジャムを作っているのではないか。
そんな気すらしてくる。
ジャムは地獄の食い物だったのか。
枕のシーツをねじるとラードが採取できそうなくらい、脂汗的なものを噴出している気がする。
目を開けると、掛けざらしのコートがぼんやりと目に入る。
今この場に死神というものがいるのなら、ちょうどあんな感じだろう。
多分死神は暑さなんて分からないだろうから、あんな格好でこの部屋にとどまれるのだ。
この暑さなら、死神は似合う。
しかしいるのは午前4時までにしてほしい。
今日は7時起きだ。
僕は、3時間は寝ないと一日中眠いのだ。