ワンクッション その1

例えば電車内で、誰かからずっと見られるというのは気持ちのいいものではない。
しかし今、見られている。
ガラス越しに。
電車の窓はよく光を反射し、特に夜にもなると鏡のように車内を照らし出す。
冒頭にあるような、ガラス越しの直視。
このようなワンクッションおいた直視というものは、相手に気づかれることが少ないと思われているためか、けっこう多く行われているようである。
しかし、このことが相手にばれたら。
それはワンクッションおいているから気持ち悪さも半減、というわけにはいかない。
「隣の人、ワンクッションおいて私のこと見てる!!」
倍増である。
ワンクッションおいているがために、直視以外あるいは直視以上のうしろめいたい何かを内在していると捉えられてしまうためだ。
視線が直視、もしくはワンクッションおいた直視で他の人に迷惑を与えかねないのなら、それはただ自分を見つめなおすことくらいにしか使えないのである。

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