こんなことを考えながら川を見てみると、いつもとは違った川が見えてくるかもしれませんね。
そう言って先生は教科書を閉じた。
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
ぼくは最後の行をくり返しつぶやきながら、下校中、いつもの川沿い。
ガードレールから身を乗り出して水面を見ると、魚もいないのに下からつついたような波紋がふたつ、広がった。
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
ふと、僕の目の前を白い羽毛が落ちていく。
風のないその日に、羽毛は周りに空気がないかのようにすっと、緩やかに流れる川へと落ちた。
波紋がひとつ。
この波紋は、誰の、何のための練習なんだろう。
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
はもんは、さかなが空に飛び立つためのれんしゅう
はもんは、てんしが地に降り立つためのれんしゅう
はもんは、てんしが地に降り立つためのれんしゅう
僕は天使のくだりを想像させた羽毛がどう用意されていたのかを調べるため、上を見上げた。
そこには小さいくす玉のようなものがあり、それのついているポールが近所の2階から伸びている。
おそらく2階ではポールについているレバーを引くおばさんがいるのだろう。
情操教育も大変だ。
ふと、見上げたくす玉に貼り紙のしてあるのが見えた。
私は今年56歳になります。
母は昔から働き詰めで、86になる今でもその精神は失われておりません。
いつもは私がこのポールを支えるのですが、今日は突き指をしてしまったため、やめておこうかと思いました。
しかし86歳になる母が替わってやると言って聞きません。
本当に聞かないんですから。
ここで貼り紙は終わっている。
よく見るとくす玉が小刻みに震えている。
情操教育も大変だ。
水面に目を戻すと、さっきの羽毛を魚がえさだと勘違いしてつついている。
この波紋は、ふたりの、何のための練習なんだろう。
カテゴリー: 汎用性より低い
頼んでないのよ人形神
閉店時間であることを知らずに、最上階に近いところで本を物色していた。
すると、よくある閉店間際音楽が流れてきた。
というか、ずっと流れていたようだ。
なんとなく他人行儀になったスタッフを見ても、ああ閉店なんやなと感づいた僕はエスカレータを降りようとした。
するとエスカレータ付近でおじぎをする店員さんが。
各階、去りゆくお客さんに対しおじぎをするルールのようだ、このデパートは。
降りゆくフロアをのぞいてみると、女の人が立っている。
ということで各フロアのおじぎさん模様。
6階
男性スタッフ
5階
女性スタッフ
4階
女性スタッフ
3階
女性スタッフ
2階
女性マネキン
1階
女性スタッフ
本日マネキンに対しておじぎをしてしまった回数
1回
延長コード先に咲く一輪
以前も書いた気がするが、この机上を見るだけでうんざりしてしまうコードの量。
いやだ。
しかし充電器などは片付けてしまうと、それはそれで面倒なわけで、どうにもコード地獄からは抜け出せないようだ。
今、コードにびっしりアブラムシがついていたらどうだろうと思いついた。
なかなかいろいろ使えそうなイメージのような気がする。
見た事があるのだ。
庭のバラ、若芽にアブラムシが足の踏み場もないくらいにみっちりついていたことを。
と、こういうときに「足の踏み場もない」を使用してもいいのだろうか。
まず気になるのは「足の踏み場もなくしているものが、けっこう踏んでしまってもいい」という今回のシチュエーション。
無益な殺生は好まないが、この場合のアブラムシは除去したい対象だ。
できないが、指でついーっとしなくてはバラがやられてしまうから。
それに話題の環境自体が足の大きさに届かないという点も気になる。
「バラの若芽に足の踏み場がない」とくれば「そうだよね」で終わってしまう。
そこにアブラムシがいようがいまいが踏み場の面積が増えるということはないから。
あれ、何の話だったか。
コードだ。
コードとくれば掃除機のあれだ。
今では少なくなってきたかもしれないが、あのしゅるしゅるとした動きに逸話はつきない。
確かグフのヒートロッドは、掃除機コードの巻き取りシステムが応用されていたはずだ。
あのしゅるーっとしたやつで、ガンダムをやるんだ、グフは。
そういえばヒートロッドには節があった。
それはなんとなく髪の毛のキューティクルを彷彿とさせる。
髪の毛にびっしりアブラムシがついている感じもいいなと思ったけど、ちょっと気持ち悪すぎる。
それにこうくると、髪の毛がコードの人を考えなくちゃいけない。
でもそれはトランスフォーマーか電脳少女か初音ミクか。
たぶん全部間違ってるけど、そういう人のコードをちゃんとコンセントに差してあげればすごく頭の回転が早くなるだろうし、なんだかフリスクのCMっぽい。
もっとシンプルに、コンセントを差すとコード先にバラが咲くってのもいいな。
机上、一花繚乱。
命の長さ、音速を超えず。その2
昨日からのつづき。
【あらすじ】
マンドラゴラの伝説に「それを引っこ抜くときに叫び、聞くと死ぬらしい」。
それゆえ「紐でマンドラゴラとつないだ犬を遠くから呼んでひっこぬかせ、手に入れる方法」が知られている。
でも、それってねえの話。
=====
上記伝説でわかることのひとつに「採取者になれている犬を、採取者はそれほど好きでない」がある。
それはどういうことか。
犬は採取者の「待て!!」を待つ事のできる、なれた犬なわけである。
待たないと、叫び声聞こえゾーンで犬は「待てず」、みんな死んでしまうから。
しかし採取者はそれほどその犬が好きじゃない。
「紐でマンドラゴラとつないだ犬を遠くから呼んでひっこぬかせる」
ここだ。
ここでなぜ「長い紐を用意する」方法がとられないのか。
それが分からない。
伝説だからといって、そういうところをないがしろにしてはならない。
「マンドラゴラが埋まっているうちに叫び声があげられないようにする」というのもありだろう。
マンドラゴラに「ひっこぬかれてない」と思わせる事ができれば、叫び声をあげることもないわけで、その契機が光なら夜にひっこぬけばよく、土の感触がなくなったことなら徐々にひっこぬく事で空気中に根が露出する事になれさせればよい。
周りの土ごと採取、必要なときに根を土に埋まったままの状態で少しだけ削り取って薬に使用する方法もあるだろう。
いろいろあるが、とにかく気になるのが「長い紐の用意」だ。
マンドラゴラの叫び聞こえゾーンを超える長さの紐が使用できれば、何の問題もなく採取が可能。
その紐を用意せずに犬を犠牲にするところが「採取者、犬好きじゃない」というわけだ。
言い換えれば「当時、長い紐超貴重」という可能性もあるけど。
また、マンドラゴラの叫び以上の叫びを採取者自身が発する方法も試みられはしなかったかも気になる。
そんなことできるのかという感じも受けられようが、採取者は「マンドラゴラの叫びが聞こえない地点から、自生場所で待つ犬を呼ぶ」声量が求められるのである。
案外、いけるのではないだろうか。
それにしてもさすがに思う。
ああ、もうマンドラゴラのことはいいや。
もう十分、この2日でマンドラゴラのことを考えた。
当分マンドラゴラの事はいいや、と。
「数多くの採取者を殺害してきたマンドラゴラがついに逮捕。しかし被疑者、黙秘権を行使」
「当分マンドラゴラの事はいいや」に、おいうちの原因を作ってみました。
命の長さ、音速を超えず。
本ブログでもたびたび出てきた「マンドラゴラ」。
今回もお世話になる。
この植物、実在するらしいが、やはり気になるところと言えば伝説のほう。
「ひっこぬくとき、その叫び声を聞くと死んでしまう」というやつだ。
叫ぶらしい、これ。
そして死ぬらしい。
その薬効がすごいらしく、みんなどうにかしてマンドラゴラを手に入れたい。
しかし死ぬ。
そこで知られるところのある方法が出てくるわけだ。
マンドラゴラと犬を紐でつないでおき、遠くから犬を呼ぶ
↓
犬がマンドラゴラを結果的に引っこ抜く
↓
犬は死ぬが、採取者はマンドラゴラを手に入れる事ができる
この話で、いくつかわかることがある。
まず、犬は採取者のことを忠実に聞くくらいの、なれた犬であるということ。
そうでないと、マンドラゴラと犬をつないでいざ離れようというとき、犬が「待て」をできないようなら「マンドラゴラにつながれた犬と誰か。みんな死んでいる」といった事件になってしまうから。
それに、マンドラゴラの叫びは犬にも効くということもわかる。
これは結構重要で、もし効かなかったとすると「叫んでいるマンドラゴラを採取者のところまで運んできてしまう」という予想外の惨事が発生しかねない。
マンドラゴラの自生した地点から採取者のいるところを結ぶ直線上の人たちが大変なことになるのである。
そして最後。
「採取者になれている犬を、採取者はそれほど好きでない」ということ。
これは明日へ。
クイックドロウ先
最近気になる事と言えば「なぜ撃ったあと、拳銃の先を吹くのか」であり、これは今日の昼ごはん何を食べようかという事の次くらいに、考え事として登場する。
そう、登場するということは今までも納得できる答えを見つけられていないということであり、おそらく今後も分からないままだろう。
銃口を速やかに冷やさないと何か、爆発するとか有害なことが起こるのだとしたら、吹いてカッコつけている場合ではない。
すぐさま土の中に埋めたり、銃をすごく遠くへ放ったり、置いて扇いだりした方がいいはず。
それは、何か新しい投降方法のようにも見えるだろうが、実際は勝利を確信したときの行動であるのだ。
しかし、夕日を背にしたガンマンがそんなことをやっていることを見た事はない。
普通に考えれば「銃口が笛になっている」だが、それあまりに楽しすぎだ。
せめて「撃った直後だと、いつもと違う音色の出ることがあるとのガンマン間の伝説がある」としておきたい。
ガンマンは銃を撃ったとき、たまたま銃口を口元に持ってきてしまうということも考えられる。
特に理由はない。
しかし統計的にみても、明らかに「銃口を口元にもってくる」ことが多いらしいのである。
この謎は、今回の「なぜ撃ったあと、拳銃の先を吹くのか」という問題提起がなければ気づかれなかっただろう。
その点今回のブログはかなり有益である。
ガンマンは小さい頃から筒状のものの先をなめるとほめられて育てられてきたのかもしれない。
銃撃戦は緊張の連続だ。
それが終わったとき、ついくせが出てしまうのである。
可能性。
僕は可能性の話をしている。
変な話じゃあない。
「あ、お父さんの股間にプルーンが2つついてる~」
これは変な話のほう。
心、寄り道をする。
A:これは小さい頃からの癖なので、どうしようもないんですけどね。
A:自分の考えがコントロールできない、っていうか。
B:というと?
A:自分の考えに逆らって、勝手に最悪を想像してしまうんです。
A:例えば歩道で小学生がこちらに向かって歩いてくる。
B:ええ。
A:すると、その子が転んで車道へ出てしまう事を想像してしまうんです。
A:もちろんそんなことはない、と考えるんですけど、別のところではその事態がどんどん悪い方向に向かっていく。
A:最後には、自分の上着をどうかけてあげるか、まで行き着いてしまうんです。
B:それはなんだか大変ですね。
A:混雑している駅のホームで、電車の警笛が聞こえてきたら、もう大変です。そんなことにはならないって思うのに、一方では最後の言葉は何にしようか、なんて考えてしまう。
B:心配性なんですかね。
A:だけならいいんですが。
B:ちなみに今はどうですか。
A:今はだいじょうぶです。特に何も悪い発想は出てきていません。
A:けど、何かきっかけができてしまったら、わからない。何か心配になってしまうかもしれません。
B:たとえば?
A:えー、たとえば、今カーテンを閉める音が聞こえたら、最終的には動物病院で泣いている感じになります。
B:けっこうなドラマが展開されるんですね。
A:勝手に想像してしまい、しかもそれが最悪の出来事に行き着いてしまうんですから、つらいです。
A:もし香水のかおりがしてきたら、たぶん「宇宙人め、生体実験ばかりするな!!」で終わりますね。
B:じゃあ、今わたしがあなたに対して拳銃を向けたら、どうですかね。
A:さっき考えていた「最後の言葉」を、別の言葉に考え直すと思います。
B:電車で来たんですね。
おねがい舞の海 その2
昨日からのつづき。
【あらすじ】
美容室で恥ずかしいのは「頭骨の形が美容師にばれちゃう」だ。
じゃあ恥ずかしくない頭骨とその整え方は?
=====
頭骨の整え方についてまず何よりも優先したいのは「無理はしない」ということだ。
頭骨は生物にとって様々な「大切なもの」を守る役割を持っているため、それを無理に整えようとすると「大切なもの」も無理してしまう。
その結果「よい形の頭骨になったが、運気が悪くなった」や「頭骨は申し分ないが、遠くから自分を呼ぶ声が絶えず聞こえる」などの悪影響が出るため、とにかく無理をしないことだ。
まず、「恥ずかしくない頭骨」について考えてみる。
たいていの人は自分の頭骨を目の当たりにはできないためか、自分の頭骨に自信の無い方が多い。
しかし安心してほしい。
ほとんどの人の頭骨は、恥ずかしくない。
恥ずかしい頭骨とは以下のとおりである。
=====
自分のうちの電話番号がマジックで書かれている
つなぎ目部分にごはんが埋められている
頭骨の額の部分にイニシャルが書かれている
九九が書かれている
頭骨の形状が変化し、左右こめかみ付近に骨のグリップができている
鼻の穴部分に息をふきこむと、きれいな音が出る
=====
恥ずかしい頭骨とは、以上のようにほとんど「肉が落ちて骸骨状態になってから」判明するものである。
もちろんこの状態では、本人は恥ずかしいどうこうはありえないため、結果問題ない。
形状についても、こめかみにグリップやねじがついている人はまれで、いたとしてもほぼ正義超人であるため、恥ずかしくないもしくは恥ずかしさを克服している。
よって、実は頭骨を整える必要に迫られる人はいないのである。
今のままで十分だということだ。
ただし、それでもより整えたい、これから整えていきたいという人がいると思われる。
なので冒頭にあるように、無理をしない方法を、今からでっち上げます。
じゃあ明日。
おねがい舞の海 その1
美容室で恥ずかしいことと言えば「頭をいじられる」ことで、これは突き詰めてみるとどうも「頭骨の形がばれちゃう」のが恥ずかしいらしい。
骨は人間のうちなるものと考えることもでき、その点プライバシーの最たる部分のひとつだろう。
それがばれてしまうのである。
同じ美容室に再度行ったとき、前に髪を切ってもらった人がこうしたらどうだろう。
「頭骨の形を両手で表現しながら、そこそこのあいさつ」
美容師としては「あなたのことは覚えています」「あなたのことは、手が覚えています」と特別な顧客であることを示しているわけだが、こちらとしては恥ずかしい以外、ない。
「あなたの頭骨はちょっとユニークで、ここまでは緩やかなんですが、ここからはキュッ」
このへんで、たぶん裁判に勝てる。
とはいえ、最初からばれても恥ずかしくない頭骨の形をしていれば、美容室で恥ずかしい思いをする事もないのだ。
ろくろの前で真剣なまなざしの陶芸家。
美容師がそんなふうに見えるような頭骨を目指せばいいのである。
次回、頭骨をどう整えるか。
有名
「うなぎの極厚かばやきで有名な呉服店」
こう言われたとき、何を考えればいいのだろうか。
「呉服店でうなぎを出すのだろうか」
「なぜうなぎを出すようになったのか、その経緯はどうなっているのだろう」
「うなぎで有名なんだったら、呉服店ではなくうなぎ屋をやればいいじゃないか」
もっともである。
しかしこれらは、どちらかというと「呉服屋でうなぎを出すな」という思想に根付いたものである。
そんな否定的な観点からものを見るのはよくない。
「呉服店でよかった。ブティックじゃないだけいい」
こういう考え方の方がいい。
「うなぎの極厚かばやきで有名なブティック」
こうなると、もちろん「うなぎの蒲焼きが有名でよかった。マネキンの稼働部つなぎ目を隠そうとしないことで有名じゃないだけましだ」となる。
「マネキンの稼働部つなぎ目を隠そうとしないことで有名なブティック」
うかつなブティックだが、大丈夫だ。
こう考えればいい。
「ブティックでよかった。プロモデラーだったらたいへんだった」
するとこうなる。
「マネキンの稼働部つなぎ目を隠そうとしないことで有名なプロモデラー」
たいがいのプロモデラーのことであり、これがたいへんなんだとしたら、つなぎ目を隠さない事なんて対した事ではないのだ。