【あらすじ】
台湾旅行。
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午前6時。
今日は台北は休日らしいのだが、あんがい人がいる。
バイク達の向く方をたどれば都市、上手く行けば駅も見えてくるのではないだろうか。
あまりにも「台湾の駅のイメージよくわからない」という不安があることから、なんとなく朝食を逃し続けていた僕は、駅を発見したら、その周辺で何か食おうと予定変更。
ホテル付近での朝食は明日にでも行おうか。
飲食店ゾーンを抜けると、きれいに舗装されたビジネスゾーンのような場所に出てきた。
もしかしたら一駅分くらいは歩いてしまったのだろうか。
日差しが強くなってきた。
日焼け止めを塗る。
ふと、公園に見慣れないポスト状のものを発見する。
どうやら「衣類回収」を目的としたものであるらしく、なんだユニクロか何かかと思ったがそうでもなく、一体何なのだろうとその前で箒を操る婦人に聞いてみたいところだが彼女は懸命に箒を操り、話しかける余地どころか写真を撮る余地すらも一日本人には与えない。
それが衣類回収ポストの全容である。
衣類回収ポストのくだりから、どのくらい歩いただろうか。
道路案内に「市民大道6段」という、すごく強そうな何かが頻繁に登場するようになってきた。
夢見勝ちでなく、目的無きまま歩き過ぎていた僕は、それ以上「強そう」イメージにとらわれる事なく道を進む。
それが功を奏したのか。
子役を大々的に広告した劇団の看板を見つける。
お前、誰だ。
カテゴリー: 遠出系
なぜか台北 その22
【あらすじ】
台湾旅行。
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僕は、お酒を飲んだ次の日は非常に早起きで、ちょっと老人じみてていやだ。
しかしたいがい、お酒の次の日は休みなので、休みを少しでも活用したいと思っている点ではすてきである。
台北2日目は5時くらいに目が覚め、しかも地震があったものだからより目覚め、さて本日はどうしようかとシャワーを浴び、特に何も思いつかない。
ガイドブックも、ひとつも見ていない。
何が何やら、ひとつも分からない。
ただ、朝食はホテル周辺のどこかの屋台で取ろうかと画策していた。
そして、そのまま駅へ向かい、知らない駅で降りてやろうと思った。
まずは朝食である。
散歩や夜市で観察した限りでは、このホテルは片やブランド店、片や庶民的なお店の狭間に存在しており、これまたすてきである。
そのうち、早朝からやっていそうな店をさらっていこうという魂胆。
何のくもりもなく、狙撃しやすそうなシャワー室でシャワったのち、空腹のままホテルを出る。
当たり前なのだろうが、こんな早朝から働いているホテルスタッフは大したもので、市街にはランニングをしている人もいて、大している。
朝は大した人が多い。
昨日見たごみか幽霊かはなくなっていた。
ホテルを出て左側へ向かうとそうかかる事もなく飲食店がずらりと並ぶゾーンに突入する。
道路は、少しコールタールに戻ってしまったんじゃないかと心配になるくらいの粘度、湿気をはなち、靴底を離さない。
開いているのかどうかも分からないが、地元の人らしき人が外に座っている屋台。
まだ下ごしらえの準備中らしいおばさん。
隙間のあるのが罪なのかと思うくらいに、一定区間を埋め尽くす外出し看板と、何かおいしそうな雰囲気を持ってしまう要素がてんこもりである。
とはいえ、浮かれてばかりも行かない。
この時点でどこにどういう駅があるのかも分からないので、歩きながらそれも探さねばならないのである。
なぜか台北 その21
【あらすじ】
台湾旅行。
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夜市は非常に楽しかったが目的の帽子はなく、豆腐ようも食べずじまい。
ホテルの場所に自信がなかったのでみんなが帰るタイミングで切り上げとなった。
奇妙な果実という、ジャズ的あるいはMP上限増えそうな食べ物以外を夜市で食べなかったため、何となくお腹がすいている23時30分。
周辺にはコンビニが数件あり、その点はどうにでもなる。
一旦部屋に戻った後、一人で外を出歩いた時、空港で話題になった「このホテルが幽霊ホテル」という話を思い出した。
なぜ思い出したかというと、ホテル前の広場ベンチに何かが置いてあったからだ。
一見、ゴミを入れた袋みたいなのだが、見ようによっては首のない人にも見え、少し驚いたのだ。
確か、昼間ここでは掃除をしている人がいた。
そのゴミのような気もするが、ゴミをベンチの上に置いていくだろうか。
そもそも人にも見えるくらいだから、かなりの大きさなのである。
何よりも、夜とはいえメガネをかけてよーく目をこらしているのに、それが何なのかがわからないのである。
だが、お菓子を見繕うとしている人間にとって、それはあまり関係がない。
興味がない。
こちらに仇をなさぬのであれば、ゴミとて幽霊とて一向にいてくれてかまわぬ。
お菓子が欲しいのだ。
お菓子を買ったり、人の部屋に行ったりして、再度部屋に戻る頃にはもう午前2時頃。
相部屋の、ビルマの竪琴の日本に帰らない方の人はもう寝ており、僕もスライムつむりのレベル上げを早々に引き上げ、それに習う事にする。
明日はいよいよ、予定の全くない1日だ。
全てを帽子と適当な行動で占めてみようと思う。
ベッドは思いのほか広くて間隔も開いており、僕なら両手を広げても誰にも迷惑かけない。
両手を伸ばして目を閉じる。
これで明日の朝を迎えられたら、「空を飛ぶ時、両手を広げて飛ぶタイプの人間」と名乗っても良さそうである。
なぜか台北 その20
【あらすじ】
台湾旅行。
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その夜市は台湾で中くらいの規模であるらしいのだが、そんなことは感じさせない人口密度。
2車線ほどの幅の道路両脇に店。
中央に店と、人が店にサンドイッチされた状態で歩いていく。
そんなに混んでいるのに、売っているものはアクセサリや衣類そして食べ物と、弁償フラグが大いにふるっているがおかまいなし。
お客さんは思い思いにジュースや食べ物を口にしながら夜市内の不快指数を上げている。
僕はカリスマに遅れないように付いていく。
あるところでは、よくわからないジュースを飲んだり、あるところではアクセサリを見たりしている。
僕は正直変な帽子を探すため、衣類店のマネキン上部ばかりを見ていた。
ハンバーグの生地のように濃密な空間を一通り抜け出した。
僕は要所にあった「豆腐よう」の店が気になっていて、それを食べたい気もしたが今日は暑い。
さっきジュースを買わなかった僕は、何か冷たいものを食べようと思いながら来た通りの逆側をさかのぼる。
するとフルーツを売っているおばあさんの店があった。
パイナップルやマンゴーが適当な大きさに切られて氷上に置いてある。
僕はこの手の店を、この夜市でいくつか見出していた。
そして気になっていた。
よくわからない果物の事を。
なぜか他の果実よりも幾分か高い金額を請求され、これは地元の人間ではない事がばれてしまったか。
変な帽子をかぶっているからかと残念に思いながらも購入。
そのよくわからない果実は、ちょうど小さいりんごのように見える。
購入の際、ノリのいい地元の人が僕に「タイペイアップル、ベリベリナイス」と言っていたところをみると、やはりりんごに近いものであるらしいこと。
そして地元の人間ではないことがばれてしまっていることがわかった。
程よい大きさに切られたそれを口に入れてみると、冷えたりんごのようでおいしい。
いや、むしろナシに似ているだろうか。
ほらこれ、変な果実だけどおいしいよと勧めてみると、周りの人は少し不安そうな表情。
そうだ、一応生水的なものの注意がなかったわけではなかったのだ。
これで他の人に迷惑をかけては悪いと、勧めるのも程々にしたのと同時に、期限切れを気にされる程度のパスポートのことを思い出す。
これで中毒なんかになったら大変だ。
いやしかし、普通にみんな食べてるじゃないか。
そんな考えが混ざった結果、僕はとにかく少ない時間でそれを食べ尽くしてしまった。
3秒ルールというのはどこから3秒なのかを考える必要もあるが、まずは心持ちが重要なのだから。
なぜか台北 その19
【あらすじ】
台湾旅行。
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ホテルで一息ついたのち、表でカリスマある人と合流。
夜市へ徒歩で向かう事になった。
それにしても、もう23時くらいだというのに、ホテル周辺含めて人が多い。
観光地というのもあるだろうし、誤った感覚かも知れないが、妙に安心する。
十数分ほど歩く。
すれ違う人は多いが周りに開いている店はコンビニくらいしかない。
人が多い事を除けば日本のどこかの都市と変わるところはなく、しかし暑い。
人ごみは、夜市が近いせいだろう。
夜市はこう、臆面もなく書いているが僕も台湾到着日に初めて知ったもので、話によるとさまざまなものや屋台が混在した、腸内フローラのような一角であるらしい。
夕食から時間がたっているため、少し満腹感があるが関係ない。
何か食べてみたい。
歩いていると、ふと横の路地が騒がしい。
そこが夜市であった。
周りとは一線を画す明かりの容赦なさと人ごみの多さ。
そんなフェスティバルが、歩いていて直前まで気づかない。
そのくらいの路地で行われているのである。
頭上からそのさまを見れば「血液ドロドロのイメージ映像」そして遜色ないものであろうし、前の人が進めば進まざるを得ない、そんな受動的移動がやはり液体を想像させる。
要はごった返している。
僕はここで変な帽子を探す魂胆であるが、それよりもまず人とはぐれない事を優先しなくてはならない。
もしはぐれたら、ホテルまでの道順なんて覚えていない。
ひとりこの流れをはずれ、致命的な夜を迎えることになる。
この人ごみなら、入り口ですぐ迷子にすらなれるだろう。
脳内出血である。
なぜか台北 その18
【あらすじ】
台湾旅行。
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通じないはずのケータイを覗いてみると、何やらショートメールが届いている。
お使いの地区どうこう、料金どうこうの内容。
どうやら、さきほどローミング設定をやってみようといじっていたのが影響しているようだ。
あとでちゃんと内容を見てみよう。
夕食を終え、バスでまたホテルへ戻る。
満腹感、疲労と暑さで、車内は片栗粉でとろみをつけたようだ。
バスガイドの黄さんが、これからマッサージへ行けるけどどうするか問うてきた。
このバスは男性のみである。
わざわざ黄さんは、いかがわしい系ではないことを念押す。
少し、日本人として恥ずかしい気持ちになる。
マッサージに興味がないわけではない。
首をぐねったとき、整骨院でマッサージをしてもらったことがあり、これは気持ちよかった。
だが、ただ疲れているからマッサージしてみたという体験は、日本でもない。
「疲れてはいるが、もまれるほどではない」
体は何も言ってはくれないので、あくまでその感じを捕らえようとすると、上記のような答えになる。
僕はまだ、もまれる域に達していない。
数人が下車するのを見届け僕は、彼らがもみしだかれるところを想像。
注文が多くないとよいのだが。
ホテルに到着したら、カリスマない僕は誰かについていって夜市を見に行く予定。
なぜか台北 その17
【あらすじ】
台湾旅行。
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正直なところ、台北での夕ご飯はそれほどのことは覚えていない。
どことなく観光客向けの食事どころだったそこでは、おいしいがバーミヤンとどこが違うかが分からなかった。
それはどちらを卑下するものでもなく、日本でおいしい料理を出すバーミヤンはすごいし、観光客用においしいものを出してくれたその台北の店も大したもの。
ただ、この「おいしい夕ご飯」で問題があったのだとしたら、僕が日本での「なんかアジアの屋台おいしそう」ダンガンロンパ。
違ったプロパガンダであろう。
夕ご飯の時、既に「屋台、何食べようか」という考えが胃を占拠していた訳である。
これでは100パーセントおいしさを感じる事はできない。
しかもここで僕は、慣れないお酒くばりをやってみて、お酒を誰かのズボンにしたたかこぼしてしまったのである。
紹興酒なので臭う。
僕はそのことですっかり落胆し、これまた食事どころではなくなってしまった。
本当に、慣れない事はしないものである。
でもそうなると、慣れない事はどこでやればいいのか。
少なくとも「お酒くばり」はこういう飲み会のところでしか練習できない。
自宅のテーブルにじゃがいもを置き、それ相手にアクアビットを振る舞っても意味ないわけで、今初めてじゃがいもでできてるお酒のことを調べた。
なぜか台北 その16
【あらすじ】
台湾旅行。
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夕食時間の集合時間も間近に迫ったため、ホテルに戻る事にする。
が、少し寄り道をしようと思う。
ホテルの近くにはかなり広い広場があり、妙な形の池がある。
それを部屋から見ていたため、そこを歩きたくなっていたのだ。
そちらに向かっていくと、沿っていた道路付近に大型の車が止まっているのに気づいた。
これは僕でも何となく分かる。
献血カーである。
雰囲気といい「X血、一袋」と明記された車体からも間違いないだろう。
ただ気になるのが、今の「X血、一袋」の「X」の部分の感じが日本での「損」という字に似ているところだ。
日本人としてはいじりやすい、いじりやすすぎる何かがありそうではあるが、まあいいか。
ホテルに到着すると、少しだけ集合まで時間のあることが判明。
また落ち着かないシャワーを浴びる。
湿度は高くないとはいえ、気温はやはり暑い。
歩き回るだけで蝶がミネラルを摂取しに大量に集まってくる。
そのくらいの汗をかいてしまうのだった、夕方の台北は。
夕食を取る場所は、バスで十数分のところにあるらしい。
めんどうくさい一方、また別の台北市街をバスから眺める事ができる利点もある。
半分眠りながらもバス車窓から外を眺める。
この辺はがりがり新しい建物がたつ場所と昔ながらの雑然とした場所が交互に目に入ってくる。
区画整理なども大変なのだろうか。
バスの乗員、黄さんが言っていた通り、バイク関連の店が多い。
ヘルメットばかり並べている店もある。
そしてバスは、最初どちらの方向に向かっていたのかわからなくなるほどに方向転換を続け、混沌としている。
妙にいかがわしい雰囲気にさせるライト挙動が気になる街道の一角にてバスが止まった時、その混沌は極値に達した。
なぜか台北 その15
【あらすじ】
台湾旅行。
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ホテル周辺の、主に栄えゾーンの探索を終えた。
ブランド店や映画館など、楽しむ分には十分すぎる空間だったが、結果的には日本の栄えゾーンとそう区別が僕にはつかず、もっと日本と違うものが見たい。
そういう点では、裏路地に入ると見える古びたベンチや建物のほうが美しく、これは国の風土なのか分からないのだが、下着姿のおじさんがよくベンチで寝ている。
こちらのほうもなかなかよかった。
台湾としても都心部になるだろうこんなせかせかした場所でもそうなれるのは、治安が安定しているのか急激な経済成長に対応できないのか。
どちらにしても気持ち良さそうなのが印象的である。
歩いているとお店が少なくなってきた。
台湾で一番高いらしいタワーと幅広な道路が埋め尽くしているホテル周辺において、妙に緑の目立つ場所。
どうやら何かの記念公園なのか。
そのゾーンに到着したのだ。
ここは一体何なのだろう。
横田基地の米軍住宅のような、何か味気なく質素な感じ。
その度合いがいくらかそれよりも強く、少し病的、隔離されたような印象すら感じる。
そんな小さい家が整然と並んでいる。
管理されたたたずまい、芝生を見ても何かの公園なのだが、一体どんな場所なのかがよく分からない。
さらにその分からなさに拍車をかけるのが、謎の卒業集団である。
彼らはアメリカ風の卒業生の格好をし、恐ろしくその通りである、あの「四角形の帽子を空に投げて喜ぶ」卒業行為すら、そこで働いていた。
一体なんなんだここは。
ただでさえ何かが分からない場所なのに、さらに分からなくしてくれてどうしてくれようか。
何を勝手に卒業行為を働いとるのか。
そんな謎と憤りを胸に、夕食集合時間を迎えつつある台湾17:00。
なぜか台北 その14
【あらすじ】
台湾旅行。
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立川ルミネのような雰囲気のデパートで、変な帽子を探す。
これは別に店のせいではないのだが、ここにあるものはカジュアルな衣類やツバのある帽子。
おされな若者向けのものばかりである。
変な帽子はない。
残念だが、他のブランド店に行く勇気はないし、夕食まで時間もある。
うろうろと6階あたりまで来てみると、日本のお菓子を扱うお店を見つけた。
そこには数時間前までは身近に存在していたお菓子パッケージが並べられている。
ああ、さっきまであんなに普通にあったのに、今では数千キロの隔たりのなかにいるのか、僕とパックンチョには。
このような哀愁が、旅の醍醐味のひとつであろう。
僕はパックンチョはかなり嫌いなのだが、それでもそう哀愁らせる数千キロは、大したものである。
さらにうろうろすると、今度はガンプラを扱っているお店を見つけた。
もしかしたら台湾限定とかあるのかもしれないが、僕はよくわからない。
僕はガンプラが苦手だ。
簡単なものならいいのだが、どうも最近のガンプラは部品の多い傾向下にあるような気がする。
そうなると、部品を枠から切り取るだけで、僕の心は折れてしまうのだ。
買ったばかりのガンプラを電子レンジの中に入れておくと、朝玄関前に完成したガンプラが置いてある。
そのくらいのことが確定していた時、やっと買ってみようかどうかと考えるくらいだ。
ガンプラ完成品が素晴らしくかっこよいことを考えてみても、そんな怪奇ハウスはかなり魅力的ではあるのだが。
ホテルのサービスになかっただろうか。
ガンプラ仕立て $XXX
ガンプラ仕立て エアスプレー $XXX
僕は懸命にも、ガンプラは買わなかった。