味玉ジェネレーション

「このからあげ、味がよくしみ込んでいておいしいね」
「味玉だったんだろ」
僕としては、ここからである。
例えば飲んだ後の定食屋でのことだったとする。
ここからどうなるか。
理科を思い出してもらいたい。
確か鶏卵の黄身はひよこではなく、養分だったはずだ。
そして味玉で一番味がついていそうな白身。
これもひよこではない。
生卵を割ったときの、黄身に点とついているものがある。
胚と呼ばれるそれが、ひよこになる権利を持つものなのである。
つけだれに漬けたとしても、成鳥に味なんかつくものか。
味玉でも、こんな立派な鶏肉にまでなれるのか。
その鶏が生んだ卵は、何もしなくてもうっすいだし巻き卵になるんじゃないのか。
とりあえずラーメン屋の味玉に「胚」を探そうとする自分を思い、ゆっくりと箸を置く。
そうなるとボケた甲斐があったというものだが。

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