二日ほど前から「空をとぶおたまじゃくし」のイメージが、ふと浮かぶ。
あの、お世辞にも上手とは言えない緩い速さで目の前を泳ぐ感じ。
なかなかいいと思う。
しかし、おたまじゃくしはその可愛らしさと同じくらい、群れたときの気持ち悪さを知られている。
朝起きたら顔に群れている。
そんなことにもなるかもしれないのだ、「空をとぶおたまじゃくし」は。
ゆっくりながらも体が小さいので、十分な戸締まりが必要である。
また、彼らは雑食性であるが、普段は落ち葉などを食むだろう。
というのも、彼らは決して捕食に長けているわけではないから、動くものを食す機会は少ないだろう。
ということで、ここに「空をとぶおたまじゃくし」の最も映えるだろう画、「空中でわっさーなってる」の可能性のないことが証明された。
もし鳥を追っているのだとしても、その遅さから人は「空を飛ぶおたまじゃくしが鳥を追っている」とは思えないだろう。
例え鳥が瀕死の状態であったとしても「空中でわっさー」は無理だろう。
鳥の瀕死と飛行の速度は比例関係にない。
ともかく、ざんねんだ。
しかし「空を飛ぶおたまじゃくし」には、他にも魅力はある。
例えば箸の先にマシュマロを刺して、おたまじゃくしを誘導する遊びがある。
また、わっか状の器具を用いて、彼らをシャボン玉で囲う遊びもある。
息で動かし、一カ所にたくさん集めるのもいいだろう。
これらは、おたまじゃくしがとろい故に楽しめるものである。
だが、そんな牧歌的な「空をとぶおたまじゃくし」も、やがて足が生えてくる。
彼らにとっての足とは、何なのだろうか。
確か、宇宙に連れて行かれたカエルは、四肢がぴーんなっていた。
「足が生えたぞ!!」
空を飛ぶおたまじゃくしの足は、それ以上の何かはないだろう。