スキップ

片足を蹴り出して前方に跳ね、もう片方の足で着地する。
着地の瞬間、こちょこちょっとした何かをし、その片方の足を蹴り出す。
その繰り返しの動作で前に進むこと。
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今、僕はスキップができるだろうか。
この疑問は、もちろん「動作自体は簡単だが、大人がおいそれとそこらで試すわけにはいかない、スキップのポップさ」が根底にある。
試せないのだ。
とにかくどんな関係の相手であれ、人に見られたとなれば逆にその人の弱みをにぎるくらいしか解決法はなく、どちらに転んでも発、人外人生である。
このような事例に対して、ひとつの解決策として「やらざるを得ない状況がやってくる」というものがある。
例えばお焼香。
マナーの範疇ではあるのだが、一方で「いつ必要なときがあっても大丈夫なように、いつも練習しています」というものでもない。
そんななか、来るのだ。
「やらざるを得ない状況」が。
しかし、例え初めてだったとしても、お焼香はそんなすさまじく失敗することはない。
なぜなら、たいてい「前の人」がいるから。
「前の人」に習いさえすれば、「初めてだったので、間違って火のついたやつを坊主の頭に乗せてしまいました」なんてことはなく、滞りなく済む。
そして少しずつ、お焼香を覚えていく、大人の階段のぼる、いつのまにか少女は、となるのである。
そんな理由で、僕は「前の人」になりたい。
「前の人」として、坊主の頭に火のついたやつを乗せれば、次の人もそうするだろうから、結果的に坊主のお経はすっごく早くなる。
木魚もすっごく早く叩く。
そして我慢できなくなって、走る。
「あれは12月ですか」
「いいえ。少なくともスキップとは結びつけることができない、つながりぞこねのオチです」
スキップ、楽しそう。
評価:★★★★★

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