暮れのぶんぶん その6

昨日からのつづき。
【あらすじ】
カブトムシのオスがいる。
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いま、うちにはカブトムシのペアが一対いる。
もう秋なので寿命は残り少ないだろうが、まだ元気だ。
天然物のメスを捕まえることができたのだ。
バナナストッキングの日から、何か出かける度に、樹液の出ている木を探すのが習慣となった。
小さい頃の記憶を思い出しては、見つけたくぬぎ林を何となく確認。
そうして見つけた木のひとつを夜に訪れたとき、メスを見つけた。
天然物のメス。
その日の晩餐には例によってごきぶりと、コクワガタがいた。
正直触りたくないメンツなので、息を吹きかけてご退去いただく。
これはいつか一本でブログが書けるだろうとか思っているのだが、ある種の昆虫にとって、「退避とは落ちること」である。
それは力を抜くということであり、人間から見ると「緊急時に力を抜くことを知っている」昆虫というのはどうも、という方針で何かおもしろくなりそうな気がするのだ。
ここで書いちゃったけど。
僕の吐息により、ごきぶりとコクワガタは落ちた。
ところがカブトムシのメスはよほど腹が減っていたのか、全く動こうとせず、樹液にブラシを這わせている。
掴むところのないのが難しいが、どうにかしてメスを帽子に入れることができた。
それをそっと包んで自転車を急ぐ。
やっぱり食事中だったというのもあるのだろうか。
自宅についてケースへ入れようとすると、このメスというのが僕の指を掴んで放さない、その類いの週刊誌の見出しを飾りそうな女であることがわかった。
何か付いていたのだろうか。
僕の指先を懸命にブラッシングし、背筋がぞわぞわする。
こんな日はカブトムシであったとしても、女っ気があったほうがいいものだね。
どんな日だ。
ともかく、ここにカブトムシのペアが9月に誕生した。
人間側としては、かなり満足。

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