ちょっとそこまで。37

上り下りのスパンが広くなってきた。
より上って、より下って。
周りにトラックの比率が多くなり、そして車両自体は少なくなり始める。
周りの風景が「このへん、山と山の間あたりになります」と告げたとき、ナビが漠然と示す「産山地方」に到着した。
地図は広大で、しるしに欠ける土地を表示しているが、ナビは自信満々に「目的地にたどり着きました」。
「阿蘇のおじさん」に対するサプライズ訪問がここに来た目的だが、その居場所が分からないとなると、それは一体何なのだろうか。
「サプライズ何か」
それは知らないところではいつも何かサプライズが起きているということであり、いわゆる日々だ。
そう考えると、日常はかなりうかうかしてはいけないことになる。
後日おじさんに「サプライズ何かがあったんだよ」を伝えるのもいいが、正直おじさんの顔すら思い出せないので、そりゃあ会うべきである。
極秘に入手した電話番号で問い合わせる。
阿蘇のおじさんのうちには、3回くらい来たことがある。
しかし子供の頃であったため、漫然としか思い出せない。
「田んぼが両サイドにある道の、突き当たり」
これだけなのだが、案外僕は、おじさん自宅周辺にたどり着いたらそれを見つけられる自信のようなものがあった。
しかしわからない。
周辺なのかもわからない。
電話に出てくれたおばさんは驚いていたものの、おじさんを迎えに出してくれるという。
阿蘇での出来事が「阿蘇を通りました」よりも上質になることが確定した瞬間である。

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