鉄二

「この度は本当におめでとうございます。司会をやらせていただきます鈴野と申します」
「こちらこそお願いします」
「ではさっそくなんですが、今回ご結婚されるお二人の司会をやらさせていただくにあたり、お聞きしたいことが」
「といいますと」
「どのようなきっかけ、おつきあいがありましたかを拝見したいんです」
「ああ、なるほど」
「そうすると司会にも艶が出ますので」
「いやあ、そんな人に話すような何かはないんですよ」
「ただ、僕と彼女は趣味が合って、それからなんです」
「え、それって何ですか」
「二人とも鉄道が趣味で」
「ああ、最近流行っていますよね」
「そうなんです。二人とも電車とか線路が好きで」
「それで、サークルとか」
「いや、そうでないんですが」
「ここがすごいんですけど、ぼくら、手相が路線図なんですよ」
「どういうことです」
「ほら、僕の右の手のひら、山手線っぽくないですか」
「ほんとだ!!」
「で、彼女の左手がほら、こう」
「おお、中央線周辺だ」
「ね、すごいでしょ」
「井の頭線まである」
「で、こうやって手を合わせると」
「こりゃ東京都の路線図だ・・・」
「そして手相の人に言わせると、東京から立川の中央線が、結婚線なんだそうです」
「すごいですね、結婚線の開通だ」
「僕が中野まで、彼女が中野から」
「いや、これはほんとすごい」
「まあ、こういったいきさつでして」
「でも、ここまで見事だと、地下鉄とかも欲しいですね」
「いやあ、子供はまだ早いですよ」
「!!!!」

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