ひな殺し

目の前の木、とはいっても50mくらい先なのだが、また鷲のものとも鷹のものともわからぬ猛禽類が巣を作ったらしい。
うちのなかでは愛鳥家かつ菜園家で通っている近所のおじさんが知りあいと、木を指差しながら話していたから。
茂みに見え隠れする巣っぽいものを眺めながら、僕はくしゃみのことを思い出していた。
本かなにかで見たことがある。
野鳥のひなは神経質で、巣の下でくしゃみをするだけでショック死してしまうことがある、と。
本当だろうか。
空気の振動かなにかがいけないのか。
それとも許容範囲を超えた大きな音で、生命活動が停止してしまうのだろうか。
どちらにせよこれが本当なら、私たちはおとなしい顔をしているが凶悪な飛び道具を口に装備しているわけで、それはくしゃみという名の遠距離撲殺術。
ひな殺しの別名を得るに値する。
そしてよく知られているように、人間界で「ひな殺し」というと、一般的には「ロリコン」と同義である。
ごめんこれうそ。
ただ、流し目で女子を卒倒させるだとか、男性の目を釘付けにさせるバデとかについては案外的を得た言い換えにも見える。
まあ何が言いたいかというと、以前書いたけど鷲鷹を見るための双眼鏡を買うかどうか、ということだけなんでして。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です