アイキャッチのあゆみ3

昨日からのつづき。
【あらすじ】
アイキャッチの近代化。
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その有効性が認められた「ゆび相撲によるアイキャッチ」だが、しだいに視聴者は混乱するようになってしまった。
すなわち、ゆび相撲のほうに注目が集まるがゆえの「ドラマを見ているのか、ゆび相撲を見ているのか、わからなくなった」というところである。
当初、視聴率さえあがっていれば問題なかった放送局でも、これを解決しないわけにはいかなくなってしまった。
ドラマとアイキャッチを両立させようとし、結果ともだおれになることを恐れたのである。
そこで2つの方針が取られた。
1:ゆび相撲中継の合間に、ドラマじみたCMを挿入する
2:あくまでドラマ本意とし、ドラマとCM間の合間(すなわち今日のアイキャッチ)はドラマと関連した内容を放映する
1については、いっそのことゆび相撲を主とし、ちょうどCM際の5秒ほどのところにドラマを行うというものである。
人気はあるが、そんなに長い間ゆび相撲だけを行うのは間が持たないのではないか。
そう懸念されたが、放送当時は概ね好評だった。
しかしすぐに問題が露呈する。
「5秒じゃドラマがわからない」というものだった。
実際はアイキャッチが計4回行われるため、20秒あるはずである。
以下、ある週のドラマ部位である。
「おいおい、今日はポトフじゃなかったかい?」
「ジェーン、ここに座りなさい」
「ほら、窓のところに靴のあと」
「まだ遠くには行っていない」
各5秒、計20秒でのやりとりであるが、これで「腕に青あざができていたジェーンだが、どうやらそれは狂言であるらしい。しかしジェーンに狂言をさせるほどに学校は荒廃しているのではないだろうか。次回につづく」という内容を網羅するのは、そして理解するのは無理があるというものである。
一部「5秒の方が想像力を働かせることができ、面白い」という意見もあったが、どちらにせよ期待した方向づけは、5秒ドラマではできなかった。
さらに都合の悪い事に、ちょうど上記5秒ドラマが放送された日のゆび相撲に、腕に青あざができていたスタッフも参加していた。
視聴者がさらなる混乱にさらされたのは、いうまでもない。
ちなみにこのときでも、ゆび相撲はスタッフが行っていた。
どちらにせよ、アイキャッチは2番。
ドラマとCM間の合間にドラマと関連した内容を入れ込むかたちとして、現代に至る。
それはその必要性というよりは消去法によって生まれたものなのであった。
つづく。

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