漬ける。

日頃より「ハブ酒」「マムシ酒」「ムカデ酒」のようなカテゴリのものが、気になってはいなかった。
昔なら、タンパク源に乏しかった地域であった風習だったのかもしれないが、今ではそんなこともあるまい。
となると、その存在意義は「昔からの一連の流れ」「劇的な効果」「見た目のうわー感」のいづれかではないか。
そんな気がする。
「昔からの一連の流れ」
冬などに、食事情がかなり厳しくなった地域があった。
そこでは冬になる前、食べられるものなら虫から毒キノコからなんもかんも集め、塩蔵したという。
昔の話ではあるが、食で苦労したことのある場合、その文化が根強く生き続けることは十分に考えられることである。
そんな感じのある種の人たちは、とにかく何か漬けたい衝動に駆られるのである。
もう、ぽいぽい漬けるのである。
どうも酒漬けにされるのは毒を持った生き物のようだ。
酒が毒を消すのだろうか。
それとも単に、それらがおいしかっただけなのだろうか。
「劇的な効果」
代替がないほど、これらの酒には劇的な、RPG的な効果が得られるから、人々はそれらを酒に漬けるのではないだろうか。
体があったまるとかではない。
中年だがまた背が伸び始めたとか、かなり驚くべきことでなければ、わざわざこんなことはしないだろう。
ハブやマムシなど、漬けたやつの毒に強くなったりするのだろうか。
しかし一般的にそいつらはコンビニなどに生息していない。
彼らの毒を恐れなければならないシーンは、おそらく彼らを捕らえようとするところであって、なんだか本末転倒。
滋養強壮にいいのだろうか。
となると、私達はどんなことで「滋養強壮によかった?」と感じればいいのだろうか。
興味は尽きない。
「見た目のうわー感」
これが一番の存在意義ではないかと考えている。
すなわち「どうだい、俺こんなもの飲むんだぜ。大したもんだろ」である。
度胸。
昔は重宝がられたこの言葉も、今ではなかなかお目にかかれず、自体も大抵重んじられない。
己が度胸をかかげるため、彼はヘビを酒に漬け、飲むのだろうか。
そうだ。
この手のお酒を飲んでいるおっさんの奥さんは、どうしているだろう。
自慢げなおっさんの横で「やれやれめんどくさ」だったら、おそらく確定である。
次回
気になるところ
漬けたはいいけど、結局のところ何がにじみ出てんの?

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