10円玉

電車内に設置されているモニタに、雑学的なクイズが出題されることがある。
「花を見るとさわやかな気持ちになりますね。ところで花びんの花を長持ちさせるためには、あるものを花びんの中に入れておくと効果があります。それは何でしょう」
10円玉だそうだ。
僕としては「花びんの中の10円玉」と「さわやか」がどうしても結びつかない。
「霊験あらたかな池に投入されている小銭」
厳かな感じもするにはするが、少なくとも「さわやか」ではない。
どうも人間には「水のたまっている場所に小銭を投入する」癖があるようで、何もまつられているようでなくとも、やや珍しい石のくぼみの水たまりにも小銭が入っていたりする。
どんなものにでも神が宿るという、八百万な考え方だろうか。
悪いことではないが、「水に小銭」というシーンで、このことが与える印象、影響はでかい。
今回の「花びんに10円玉」も例外ではなく、「花を生かす」「さわやか」どうこうよりもまず、「何?、なんかまつられてんの?」のイメージが先行し、混乱を招く。
そして「花を生かす」事実を知ったとしても、今度は「花の生気と10円玉」の関係、比較にまた、苦しむのである。

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