過剰にとろける思い

CMはときとして過剰な演出をし、目を引かせる。
「店舗に殺到するお客さん」「対向車のいない道を、だいぶなスピードで走行する車」などはよく見られる演出だが、新しい気持ちでそれを見ると、なかなか楽しいもの。
一方、方向性の違う過剰な演出もある。
「あの娘はピザのチーズが伸びるだけで、あんなにも喜んでくれるのか」
あるCMを見ていて、なんとなく思った。
人を喜ばせたいと思うことは、誰しも心に秘めているもの。
それがあの娘については、ピザのチーズを伸ばすことでかなえることができるなんて。
これでもう、彼女のハートは射止めたも同然。
青少年達はそう勘違いしてしまうだろう。
そして延長、女の子はチーズが伸びることが大好きだと思い込んでしまうのだ。
このケースの登場人物で、悪いヤツは一人もいないわけだが、勘違いをさせてしまうことが、問題点ではある。
しかしこの勘違い。
「チーズの伸びることがうれしい」人自体はかなり多く、それだけだとCMの出来事も間違ったことを言っていないわけで。
あくまで「喜びすぎ」が問題なのではあるが、それも人の程度によるものなので。
チーズが伸びる映像で失神してしまう女の子がいたって、おかしくはない。
でもそれは、チーズに対する思いが過剰というよりも、その子が過剰なのだろう。
とにかく、「チーズの伸びることへの喜び」が持つ勘違いに気づかせることは難しいのかもしれないし、訂正しにくい勘違いというのは、もはや勘違いじゃないとも言えるのである。

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