何かあれば、お好み焼きだ。
なんてうまいんだ、あいつ。
いいことがあればお好み焼きを食べようかと画策している。
本日それが実り、食べに行った。
レジでぼーっと店員さんを待ち、カウンターに通される私。
ひとりで食べに行ったのだ。
お好み焼きはひとりで食べることが多い。
ちょっと人より、好きすぎるのかもしれない。
ところで、ひとりでのお好み焼きは楽でいい。
例えばふたりでのお好み焼き屋さん風景を考えてみよう。
たいていテーブル席にある鉄板は1枚だ。
そこで種類の違うお好み焼き、へたするとお好み焼きともんじゃ焼きという組み合わせが鉄板一枚上で起こるのだ。
国取り合戦である。
少しでも相手の生地と混ざろうものなら、さっきまでの和気あいあいとした空気はどこへやら。
お前が悪いあんたが悪いと罵詈雑言が飛び交い、最終的には領空、制空権どうこうにまで話が進む。
その点、ひとりは安心。
私の島を、誰も侵しはしない。
さて、カウンター席はまだ準備がされていないらしく、「今から火をお入れいたします」と店員さん。
頼むぞと私。
数分後、火の状態を見て、「熱されるまで、もう少しお待ちください」と店員さん。
任せたぞと私。
すると、「カウンター席様、鉄板待ちでーす!!」と店員さん。
私もいつか鉄板ネタが持てるだろうかと私。
お好み焼きと焼きそばを堪能していると、「お冷はいりますか」と店員さん。
いりませんと私。
数分後、「お冷はいりますか」と別の店員さん。
そんなに私はお冷を欲している顔をしているのかしらと私。
食事後、満席の店内を駆け巡る、忙しくて精算どころじゃなさそうな店員さん。
声をかけられず、レジの前で泣きたくなってきた私。