「ヘルシーな海の幸ちらし寿司はいかがだろうか。
いか、桜えび、いくらが乗っかっているのだが。
ん?、2点確認させてくれ、と。
まず、どの辺がヘルシーなのか、と。
それはな、海の幸が控えめなんだ。
あと、なんでそんな偉そうに勧めてくるのか、と。
それはな、俺はここの店員じゃないんだ。」
「え、いらない?。
なぜ?。
お前、色々と食べてて、そろそろさっぱりしたものが食べたいんじゃないのか。
違うのか。
ん?。
俺が横柄だからか。そうか。
じゃあ、空いてる皿、下げてもいいか。
え、店員じゃないのにそんなことしていいのかって?。
お前、ばかだな。
店員じゃなくたって、店長かもしれないじゃないか。」
「まあいい。空いてる皿、下げてもいいか。
下げるぞ。
ただ、今皿を下げるが、お前はゆっくりしていっていいぞ。
許すよ。
ん?。なんだか気まずそうな顔するな、お前。
いいか。ゆっくりすることを、許すよ。俺は。」
「2車線ある道路の左側を走行していると、駐車車両のあることがあるだろう。
荷物をおろしているやつだ。
それで車線変更を余儀なくされたりするんだ。
あれは邪魔だけど、仕方がないだろ。
そこに止めなくちゃならないんだから。」
「お前はその駐車車両みたいな感じでゆっくりしていっていいぞ。
ほら水だ、水。冷たいぞ。
飲んで渇きをいやすといい。」
「ん、妙な顔つきだな。
そうだな。喫茶店でちらし寿司を出そうとするのも、そうないな。
ここはな、待ち合わせが必ず成功しない喫茶店として有名なんだ。
みんな滞在時間が短いからな。
ここはそういうところだ。
待ち合わせはするけど会いたくない。そんなときに使われる喫茶だ。
もちろんお前のフィアンセは来ない。もう帰った。
お前も、すぐに帰った方がいいとは思わないか。」