幻想動物生態・メドゥーサ

完全憶測で、いるんだかいないんだかよくわからん、今回は正直いない生物を紹介する。
◆メドゥーサ
和名:
へびがみにょろり
生息地:
ヨーロッパに、広く浅く分布
姿かたちは人間の若い女性であるが、その髪が全てへびであるという、珍しい生き物。
食性、生態なども人間と同じで、言葉も解すが、その恐ろしい姿ゆえ、それを見たものは石になると言われている。
※あまり知られていないが、彼らにはオスメスの区別がちゃんとあり、男のメドゥーサも存在する。
しかし、男のメドゥーサは髪がへびではなく、外見上人間のそれと見分けが付かない。
一応へびもいることはいるのだが、いるところがいるところなので、まぁ諸都合により、今回は触れない。
卵胎生であるが、卵から生まれたばかりの姿は、確認されておらず不明である。
誕生して半年くらいの個体は、肌の色は緑色であり、ときどきニカっと笑うことが観察されている。
その後、幾度かの脱皮を繰り返し、ほぼ人間の姿となる。
脱皮が近づいたとき、皮がはがれやすいように、体をぱしぱし叩く行動をするため、人間と区別しやすい。
奇妙なことに、最大の特徴である「へびの髪」は、幼少より髪の毛の手入れを怠った個体が、より太く、へびっぽくなることが知られている。
一方、小さい頃から手入れをしていたものは「へびの髪」が細くさらっさらで、へび自身もおとなしく、ほとんど人間の髪と同じになる。
さらに、本人もメドゥーサであることを忘れてしまうため、特に脱皮を終えて体を叩かなくなったものは、ただの人の様相となる。
かろうじて、ふけが多い(へび一本一本の脱皮のかす)くらいしか、違いがない。
一方、髪の手入れを怠ったことにより、恐るべきへびの髪を獲得した個体であるが、メドゥーサ種内の考え方としては、手入れを怠ったという事実もあり、へびが太ければ太いほど、だらしないやつであるというレッテルが貼られてしまう。
へびも、太ければ太いほど自我を持つらしく、共食いなどを始めたらクシ(歯が2?3本しかない)も通らず、大変である。
だらしなく、大変。
そういう個体が、神話の中に登場するわけである。
さて、冒頭でも紹介した「見たものは石になる」について、最近の研究により、色々なことがわかってきた。
まず、メドゥーサを見たら必ず石になる、ということが誤りであることが判明した(1989/エドッチ)。
これは、もちろん髪の手入れをしていた個体では石にならない、ということもあったが、それだけでなく、かなりへびへびしている個体についてもそうであった。
この原因を探るため、研究中に石になってしまったエドッチに代わって調査を続けた今井博士は、ある検体の言葉に注目した。
検体「いやぁ、メドゥーサっていうから怖かったけど。見たら案外イケてましたよ」
この検体に提供されたメドゥーサは、かなりド級だったが、検体にしてみれば、結構いいかも、だったのである。
今井博士は以下の結論に達した。
「メドゥーサの石化能力は、相手の嗜好に依存する」
だらしないメドゥーサにしてみれば、自分に恐怖を抱くようなものを石化させることで、自分を嫌いな異性の絶対数を減少、好いてくれる異性だけを残すというメリットもあるが、異性が少なくなるとさらに寄ってくるやつがいなくなるのでは、というデメリットもありそうである。
この結論で重要なのは、一般的に知られている「メドゥーサの狩り方・鏡編」が万能ではないことである。
要は、相手のメドゥーサが「私、美人というよりは、かわいいほうね」とか思っているタイプであると、鏡で自身の姿を見せても石化の効力は望めない、ということである。
この方法で石化するのは、鏡を見せたときに「あぁ、私何度見ても、やっぱりへびがみだわ・・・。ちょっと、ないでしょ、このご時世。へびがみ」と憂うようなタイプのみである。
自分を、どちらかというとかわいい寄りであると思っている、だらしないメドゥーサに対しては、鏡よりもヴァンサンカンなどを与えた方が効果的である。
「へびがみの人、いないじゃない!!」とかなる。
ともあれ、だらしないメドゥーサは、このようにして自分を好く相手を探していることが示唆されたのである。
これらの情報は全て、エドッチと今井博士の研究のたまものである。
石化してしまった彼らは現在、何かを抱えているような格好をした状態でポリグリップ博物館に保存されている。

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