ヒロユキが12歳の頃、そのいとこのヨシミは、明朝体のハネ部分に欲情していたっけ。
サトシはそう思った。
ヨシミの同級生のカズヒロは「レミオロメン」のことをヨーロッパのある演劇の名前だと思っていたし、カズヒロと苗字が同じなタカヤは、手の甲に生えた一本の太い毛を大切にしていた。
街中で母親と手をつないでいる男児の人数を数えるのが趣味だったトモミはタカヤのことを知らなかったが、何かあったときのために、いつも古新聞を用意していたし、その弟のツバサはこの間、モロッコに行く夢をみた。
そんなツバサと生命線の長さが一緒だったハムドが、畑に吊るされたCDに疑問を持っていた頃、学校の一緒だったシンジは誰も傷つけない失笑が、ナミは家電量販店で店員さんを呼び止めることが得意だった。
ナミの呼び止めた店員さんから、執拗にサイクロン掃除機を勧められたハルゾウは「なんだか、やっと時代が俺に追いついた」と言っていたが、その将棋友達のゲンジは、基本的に無傷だった。
ゲンジの小母のオサヨは気の強い女性で、マンガ喫茶で自分が読みたいものを全て確保していたけど、それを愛おしく見ていたヘイハチは9巻が空くのを待っていた。
この二人はキルドレさながら不死になっちゃって。
オサヨなんてゲンジがどこまで耐えられるかを試してみたけど、結果的には人間のそれと変わりがなかった。
その時代、ショウジは野球の審判をしていて、一回くらいは打者が一塁ベースを踏む瞬間に「ストライク」と叫んでみたいと思っていたが、ピッチャーをやってたトモキは、投球中も家でセットしたビデオがうまく作動しているか、気になってしょうがなかった。
そんな僕らが、今度合コンをすることになりました。
よろしくお願いします。
注
何かが起こりそうだよストーリー
何かが起こりそうだよストーリー リターンズ
何かが起こりそうだよストーリー プレリュード
非いつもの
「いつものやつ」で通じる喫茶店で「いつものじゃないやつ」を頼んだら、何が出てくるのだろう。
=========
?いつものやつ?
ガトーショコラ
ウィンナーコーヒー
=========
「いらっしゃいませ」
「あぁ、マスター。いつものじゃないやつ」
「!!!!!」
◆マスターの脳裏にひらめいたものたち。
?いつものじゃないやつ?
1.
マクドナルド ハッピーセット
2.
きんつば
甘酒
3.
鯖の水煮缶詰
水道水
4.
工業哀歌バレーボーイズ1?3巻
5.
子猫のパズル(200ピース)
6.
USJ年間スタジオ・パス
7.
木片
紙やすり
8.
本格的な鞭
9.
仕入れ拳銃一覧表
10.
トング(2ヶ)
11.
筆ペン
半紙
12.
食べかけのガトーショコラ
エスプレッソ
13.
延長コード
14.
何かよくわからないスイッチ
(横にドクロのマークがある)
15.
何かよくわからないスイッチ
(特に何も書かれていない)
??????????????????????
マスターはメニューを持っていきました。
いつもの
ついに、である。
ついに、よく行く喫茶店で「いつものやつですね」と言われたのである。
そこでは、僕は決まったものしか頼まないため、いつかは言われるんじゃないかと思っていた。
しかし、この「いつものやつ」については、羨望的な話が多いのではあるが、考えてみよう。
けっこう、はずかしいぞ。
ということで、僕は店員さんにそう言わせる前に、「ガトーショコラとウィンナーコーヒーで」と、毎回同じことを言っていたのだ。
だが、言われてしまった。
やっぱり、はずかしかった。
おんなじものなんて保守的だなぁ、と思った。
ということで、そう言われて以来も、僕はこの敗北(?)に屈することなく、ずっと「ガトーショコラ・・・」と先手を打ち続けている。
そうしないとはずかしいし、ケーキじゃなくてプリンが食べたいときもあるのだ。
父親像
なんとなく今考えた、父親の口から出てきて欲しくない言葉、ベスト5!!。
1位 ポシェット
2位 ヴァナ・ディール
3位 うひょー
4位 ふくろとじ
5位 Bボタン
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1位:ポシェット
「ちょっと、出てくる。わり、そこのポシェット取ってくれ。」
この瞬間、父親の威厳とやらは、露と消える。
2位:ヴァナ・ディール
最近やっとPC使えるようになったと持ったら、いきなりそこ!?、みたいな。
3位:うひょー
「うひょー、モロ、モロ!!」
これは見たくない。
4位:ふくろとじ
「なんだこれ、ふくろとじになってんじゃないか。」
父親も、モロに見られたり、ふくろとじで見られなくなったりしているようだが、こちらは、そんなあなたを見たくない。
5位:Bボタン
「おいそこ。Bボタンじゃないと飛び越せないぞ。」
なぜあなたが知っているのか。
かく親父像、近くなりにけり。
パトリオット2
【あらすじ】
志津子は、ジャック向田のことを外人だと勘違いしているが、悪意はない。
そんな志津子の「来日してからどのくらいたつか」という問いに対し、話を合わせるため年齢を答えてしまった向田。
間違ってはいないが、とにかくもう、向田はめんどくさくなっていた。
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志津子「ところで、来日されてから26年ともなると、だいぶ日本になれてらっしゃる。」
ジャック「・・・そりゃあ、もう。」
志「好きな日本料理とかは。」
ジ「・・・まぁ、スシテンプラですよ。」
志「あら、以外にソードアックス。」
ジ「・・・オーソドックス・・・。」
志「やっぱり、行き着くところはスシテンプラなんですねぇ。」
ジ「・・・そうでしょうね。」
志「来日されてから、初めて覚えた日本語なんて、あります。」
ジ「・・・えぇ。アリガトウ、コンニチハ。」
志「やっぱり。そう、日本はあいさつを大切にする国なんですよ。」
ジ「・・・そうでしたか。」
志「他には。」
ジ「・・・うんと。ガチョーンなんかも、割と。」
志「まぁ、それってギャグなんですよ。」
ジ「・・・えぇ。つい最近、知りました。」
志「悪いお友達も、いたものですねぇ。」
ジ「・・・そうですね。」
志「これはいい意味を持つ言葉だ、みたいなものはありました。」
ジ「・・・そうですね。「キョウハ キミノタメダケニ ウタッタアト ウインクスルカラ テレビミテオイテクレ」ですかね。」
志「まぁ、実用的ですね。」
ジ「そうでしたね。」
志「今日は、楽しい話をたくさん伺うことができました。ありがとうございます。」
ジ「・・・いえ、こちらこそ。」
志「ところで今日は、ちょっとしたサプライズがあります。」
ジ「え、なんでしょう。」
志「ジョニーさん。お誕生日おめでとうございます。ケーキです。」
ジ「えー。あ、ありがとうございます。ジャックですけど。」
志「もう、26歳になられるということで、ロウソクもちゃんと用意しましたよ。」
ジ「!!」
パトリオット
志津子「今日のゲストは人気バンド「ジャック向田と市井数学研究所」のボーカル、ジャック向田です。」
ジャック「どうも。」
志「今、すごい人気なんですよね。新曲「割り切れない思い」。お若いのに、あんな曲がよくできますね。」
ジ「そうですね。苦労しました。」
志「それにしても、お上手ですね。」
ジ「え。何がです。」
志「日本語ですよ。とどこおりなく。」
ジ「え。いや、別に。僕、日本人ですよ。」
志「またご冗談を。」
ジ「いや。あの。」
志「大丈夫ですよ。全て受け入れていますから。」
ジ「いや、別に。日本人ですから。ずっと日本ですから。」
志「来日されてからは、どのくらい。」
ジ「だから、あの。」
志「来日されてからは。」
ジ「・・・26年です。」
志「まぁ。素数じゃないんですね。」
ジ「・・・。」
ジャックという名から、外人だと勘違いしている志津子に、つい話を合わせてしまった重雄(ジャック向田)。
こんなにも小さな誤解が、特にどうもならない次回へと続く!!。
夏の日に 紡いでみたよ 五七五その3
前々回の五七五
前回の五七五
暑き夜
ミッドナイトウェイ
サーカスだ
nimbus7942(ミッドナイトウェイをテンポよく読むこと)
休み終え
色気増してる
同級生
nimbus7942(何かあった)
パイプ椅子
甘えてぐずり
指を噛む
nimbus7942(たたんでほしくないの)
かたつむり
もう触れなく
なっている
nimbus7942(気持ち悪い)
金縛り
指動かせば
解除さる
nimbus7942(なったときはこの句を思い出すこと)
コワモテが
濡れたタオルを
ビッてやる
nimbus7942(高い攻撃力)
地下道に
一輪の花が
ハンティング
nimbus7942(ここにしか咲かない花)
なめだすと
止まらないのが
あめ玉だ
nimbus7942(あめ玉だ)
張り裂ける
この想い胸に
太陽へ
イカロス
おとといの
さきおとといは
思い出だ
nimbus7942(夜ご飯なんだったかなぁ)
流し
「流すだけで、みるみる上達するCD」と銘打ったものを見かける。
勝手に流れてるだけなのに、ナイスらしい。
何かいい。
「こちとら流すのにちょっと手を出すだけ。それからはほったらかしさ」
そんな雰囲気が出ている。
それで上達。
理屈はよくわからないが、たいしたものだ。
ところで、このようなものは結構他にもある。
「流すだけで、みるみる治る肩こり」
電気治療器。
「流すだけで、みるみる涼しげになるそうめん」
そのまま。
そして、まだまだ。
「流すだけで、みるみる同情を引くことができる涙」
「流すだけで、みるみる同情を引くことができるランバダ」
「流すだけで、みるみる異性への興味が湧いてくる目」
「流すだけで、みるみる玄人っぽくなるヒット」
「流すだけで、みるみる卒業する白線」
「流すだけで、みるみる癒される通販番組」
「流すだけで、みるみる治安が良くなる島」
「流すだけで、みるみる弔える精霊」
「流すだけで、みるみるレコード大賞をとれる精霊」
と、これだけ挙げれば、いろんな精霊がいたものだねという感慨もさることながら、さすがに「流したあとは、ほったらかしさ」じゃまずいのでは、と思う向きもいるかと。
そりゃ、そうだよね。
流される方も、大変かもしれないしね。
ということで、日々に少々のいましめ。
南へ。
【あらすじ】
墓参りに、福島に来たのである。
墓参りが終わったのである。
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お昼ごはんに、おいしい親子丼が食べられる店によるのである。
混んでいるのである。
そば屋にするのである。
グラタンも提供するそば屋なのである。
親子丼がないのである。
今、気持ちは親子丼なのである。
うどんを注文したのである。
食べ終わる間際、混じっていたそばの小片から、そば屋であることを思い出したのである。
伯父にお土産を催促するのである。
さつまいものお菓子をゲットしたのである。
五色沼に行きたいのである。
カーナビがないのである。
自殺行為なのである。
ICまで送ってもらうのである。
5時間の車旅行である。
雨量である。
豪雨が容赦なく車体を叩きつけるのである。
周りの車が湖面を走っているかのようである。
6時間半の車旅行である。
北へ。
福島への墓参りである。
5時間の車旅行である。
途中でなぜか高速を降りてしまったのである。
カーナビがないのである。
「なぜか」と言っている以上、降りたところもどこだかわからないのである。
あと10分、外環方向を示した青看板がなかったら、帰る所存である。
6時間半の車旅行である。
追い越し車線を「ミサイルに追われています」という事情がありそうなくらいにスピードを出した車が走っていくのである。
車くらいの質量を持つ物体が、そんな速さで走ったら危険である。
エスカレーターの乗り口付近で、でんぐり返しに興じるくらい危険である。
墓地全体が、お花畑である。
福島の人は、どうやらお盆を大切にしているのである。
伯父が家の墓をあばき始めたのである。
祖母が持っていた、親戚の骨を入れてあげたいらしいのである。
いきなり墓をあばいてよいのか、心配なのである。
何かしらの経由が必要なのでは、と思うのである。
何かしら経由で入手したスコップで完全にオープンになった墓に、ざっくばらんに骨をまいたのである。
アナーキーな納骨である。
寺の人にスコップを返し、墓をあとにしたのである。