9月13日。
銀座、曇り。
歯が痛む。
ケーキ屋にいるからだ。
何か不審な動きをしようものなら、黒服がわんさと出てきそうなたたずまい。
そのケーキ屋の印象だ。
ここの門を、人生であと一回は、くぐる。
出るときだ。
慇懃そうに見えるが、全くそのとおりな動作で席を案内する、初老の男性。
ここはそういうベクトルの執事カフェか。
慇懃そうに見えるが、全くそのとおりな動作でメニューを持ってきた、初老の男性。
注文を待っている。
全く慇懃な動作を終え、じっと待っていても、彼はどこから見ても慇懃だ。
?????????
「ミスター、ミスターインギン。今日はどちらへ?。」
「いやあ、古い友人に、手紙を出そうと思ってね。」
「そりゃあいいや。インギン、もうすぐ降りそうだから、傘持ってってよ。」
「ありがとう。」
?????????
僕の考えた、彼の日曜日。
ちなみに、最後の「ありがとう」の調子(イントネーション?)は
「あり(↗)がとう(↘)」ではなく、
「ありが(↘)とう(↗)」だ。
メニューには、細工じみたケーキが。
おいしそう。
と、ここでやっとこ「9/13」シリーズの本題に。
僕の、人に誇れるスタンド能力。
「はじめての店で、必ずおいしいものを注文できる」に触れる。
次回。
9/13 銀座。
9月13日。
銀座、曇り。
歯が痛む。
昼食にお好み焼きなんかを食べたからだ。
人が多い。
もし、僕誘導ミサイルが放たれたとしても、ここにいれば安全だろう。
ただ、ここであせったら迷うのは確実だ。
痛くて、迷ったら、悲惨にもほどがある。
慎重に集合場所に向かう。
時間はすこし過ぎてしまったが、そこには友人が待機してくれていた。
なんらかの突然変異的な理由で、病的なまでに色白でアルビノな「ふなむし」君。
立川うどのようだ。
エミューのモノマネが得意な「エミュー」君。
頭がよい→出来杉と命名、のようだ。
Apple Storeを冷やかしつつ、僕らは銀座で、本日のターゲットである土鍋を探すために動き出した。
土鍋はネットで買うことにした僕らは、喫茶店で何か食べようということになった。
ここでついに歯が死ぬほど痛いことを吐露した僕だったが、さほど喫茶店探しに影響することなく、おのおの「ケーキが食べたい」「チーズが食べたい」などの意見を頻出。
30分ばかり、失われたアークを求めるレイアースのようになった(いろいろ間違い)。
道中、エミューが言う。
「和菓子はやめたほうがいい。あんこの、虫歯に対する攻撃力は、目を見張るものがある。」
同感だ。
道中、ふなむしが言う。
「何か、クレープのようなものが食べたい。」
何を言っとるんだ、この子は。
その数分後、僕らはエミューのすすめる、なんだか全て時価です、といった雰囲気のケーキ屋に入る。
9/13 吉祥寺。
9月13日。
吉祥寺、曇り。
歯が痛む。
夜明けまで飲んでいて歯磨きをしなかったツケが、今までの怠慢な歯磨きライフのツケに加わり、それが神経に達した。
歯磨き、前歯に激痛。
ブラシが通過するたびに、声が出る。
今日は知人へのプレゼントを友人とともに選ぶため、銀座で待ち合わせだ。
本来は歯医者へ直行するべきだったが、あいにくどこもやっていない。
じゃあせめてどこの歯医者を選ぶかと、ネットで調べてみたが、口コミはどこまで信じていいものやら。
とりあえず場所優先でアタリをつける。
「院長先生がやさしい」の口コミを、信じる。
院長先生を想像。
SLAM DUNKの安西監督みたいな顔なので、だいじょうぶだろう。
この行動が、本日における僕の歯治療への意気込み結果、最前線となる。
早めに昼食を取る。
ところで、基本的に歯が痛い人は、その日の生活全てが「歯、中心」になる。
「この行動は、この痛んでいる歯には、特に影響しないか?。」
「YESか、NOか。」
僕が昼食にお好み焼きとやきそばを選択したのは、YESと判断されたから。
しかし、それらを目の前にすると、やはり緊張する。
虫歯にとって、卵はYESかNOか。
キャベツは。
豚肉は。
イカは。
ソースは。
お好み焼きだ。
検討する具材が多い。
しかも、近くではやきそばも、うまそうなにおいを立てる。
だが、一度は混乱した僕だったが、すぐに「やきそばに含まれているものは、たいがいお好み焼きに全部入っているだろう」と冷静になり、そのお好み焼きについても「まぁ、YESだろう」となったため、両方をいただく。
ひどく、まずく感じる。
舌で虫歯部分を探り、やはり痛むことを確認しながら、銀座に向かう。
ふなむしとエミューがいるはずだ。
世界平和度指数
世界平和度指数。
算出の仕方等、興味のある方はgoogleのテキストボックスに「平和度」と入力後、いづれかの指でEnterキーを押してもらいたい。
どのくらいその国が平和か。
数値で出るらしい。
最新のランキングで、日本は5位である。
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「世界で5番目に平和な国」
電車に乗ってくる人が、ちゃんと降りてくる人を待つ。
鍵穴が廃れている。
路上で寝ると、起きたときは自宅のベッド。スクランブルエッグが用意されている。
みんなよく歌っている。
夜が明けるとともに目覚め、日が落ちるとともに寝る。街灯もない。
譲りすぎで誰も座らないため、電車の座席が廃止。
国を挙げて「手巻き寿司をキレイに作るには、どれほどのご飯を巻くべきか」の研究にいそしむ。
「警察署内ツアー」が流行。
雲を眺め続ける仕事がある。
電車の遅れたことをわびる車掌を慰める乗客が多いので、混雑する。
お店にシャッターがない。
ATMコーナーに、お札が平積みされている。
ちょうちょを追いかけている人が多い。
お父さんのギャグに、家族全員が笑う。
防犯グッズコーナーには、パーティー用品がある。
機密書類が、ばんばん風に飛ばされている。
何気なく立っていると、どんどん後ろに並んでくる。
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平和度指数を算出する調査なんて、高が知れているようだ。
返却
レンタルビデオ屋でDVDを借りたあと、変な店員に「またお越しください」と言われた。
・・・コイツの言いなりになるとはな・・・。
おもてなし番外
昨日から。
【あらすじ】
あなたは、お客さんをもてなしたいのだが・・・。
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大変だ。
紅茶がない。
ケーキもない。
モノポリーもない。
相手の好きな球団もわからない。
あとは主に、吉幾三と電気グルーヴが歌ってたものくらいのものがない。
もてなすための何かが、全くない。
・・・あわてるな。
何かはあるはずだ。
何かを、よく探してみろ・・・。
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1.お客さんの首筋に、大きなイボを発見!!。
→「おめでとうございます。出芽はいつごろに?」と言うこと。
2.けんだまを発見!!。
→
a)たまの穴に紙粘土を詰める。
b)お客さんにやってもらう。
c)けんに刺さらないのを紙粘土のせいにすること。
3.お客さんが「今日はあまり時間がありませんので」と言ってきた!!
→玄関に小さな居間を用意すること(イスとテーブルを持ってくる)。
4.テーブルの上にマヨネーズを発見!!。
→容器のくちを、自分の方に向けること。
5.お客さんの鼻毛が出ているのを発見!!。
→「それほどの烈毛。出さないようにする術は、もはやないですよね」と言うこと。
6.お客さんの鼻毛が出ていないのを発見!!。
→「まぁ、よく出さずにお越しくださいました」と言うこと。
7.お客さんの唇がかっさかさだ!!。
→「あ、唇に何かついていますよ」と、リップクリームを塗りたくったティッシュを渡すこと。
8.雨が降りそうだ!!。
→「お寝巻きは、父のものでよろしいでしょうか」と聞くこと。
9.お客さんの頭に、ハエが止まった!!
→「みんなの癒し系ですよね」と言うこと。
10.特に何も発見できない!!。
→「なんか、お客さんのそばの空気、キレイになってません?」と言うこと。
こんな感じで、おわりにしますか。
おもてなしもできませんで。
おもてなし2
昨日から。
【あらすじ】
あなたは、急なお客さんをもてなすための準備ができた。
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完璧である。
あなたは昨日やっておいた準備のおかげで、お客さんのセンス、考えていること、次どのように行動するか、家族構成、預金残高あらゆることが把握できた。
あとは判明した相手の属性にあった話題を振れば、彼がそれを持ち上げてくれる。
さあ、ケーキと紅茶、もしくは和菓子と玄米茶を用意したまえ。
そう。
僕は玄米茶が大好きだ。
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ここまでで、パーフェクトなもてなしは約束されている。
今日はさらなる、もてなし実践方法を考えてみる。
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1.完成間近のパズルを与える。
ピースの数が多ければ多いほど、もてなし度数が高い。
同様のもてなしとして、あとひとひねりのルービックキューブなどがある。
2.油っこいものがもう食べてある中華料理を振舞う。
ここで、油っこいものをそもそも使わない、というのはもてなしにならない。
この場合、「あなたのために体張りました」が必要なのだ。
3.絵本の泣かせどころに、付箋を貼っておく。
もてなすにも、もてなされるにも、時間に限りがある。
手を煩わせずに、感動を。
4.オセロの弱い小学生を用意しておく。
「彼のお父さん、そろばんが得意なんですよ」といって、微妙に関係ありげな情報を与えつつ、オセロをやらせろ。
あと小学生には、駄賃をはずめ。
5.極悪人を身動きできない状態で捕らえておく。
「おてがら」を与えるのは、そうはできないもてなしだ。
次回、つづくかも。
おもてなし
結局のところ、もてなさずにどうするのだ、という話なのである。
急な客である。
だからといって、もてなさない理由には、ならなんだ。
もてなせ、客を。
最善を模索しろ。
もてなしたら、勝ちだ。
客の属性を素早く見つけ出せ。
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今、僕はいいこと言った。
楽しませられるんなら、そうするに越したこたない。
となると、やはり共通の話題。
だけど、客がどんなことに興味あるのかがわからない。
まず、客の属性を速やかに見つけ出すため、日ごろの準備を考えよう。
そしてこの流れで、今日は行ってみよう。
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前もって、玄関に牛の頭骨を飾っておけ。
呼び鈴を押すと、水がぴゅっと出る仕掛けにしておけ。
玄関の「のぞき穴」を万華鏡にしておけ。
招き入れるとき、「ヨーソロ、お越しくださいました。」と言え。
玄関入り口のマットは、びりびりにしておけ。
ダイエットスリッパを与えろ。
スリッパを逆さにし、サソリが落ちるのを客に見せろ。
客の座る椅子に、刺繍の、やり途中のやつを置いておけ。
テーブルの真ん中に、トランプのタワーを建てておけ。
新しい、トランプの封を開けたやつを置いておけ。
台所で客に聞こえるように「♪帝国歌劇団?」と歌え。
メッコールと温野菜を与えろ。
コースターは旗本退屈男のめんこにしておけ。
グラスをテーブルに置くとき、袖からダイスをこぼれさせろ。
鉛筆立てにぎっしり赤鉛筆を入れておけ。
さりげなくBGMに「吾亦紅」を流せ。
テーブルのはじに、最新の健康診断書を置け。
その上に日本タレント名鑑を置け。
そのとなりに原のサインボールを飾れ。
目立たない場所に、ビールの空き缶とファブリーズを対で置け。
DSのペンだけ、床に落としておけ。
PCを用意し、すぐに何でも検索できるようにしておけ。
薄着で生活しておけ。
============
これだけ。
これだけやっておけば、何が属性か、なんとなく分かるだろうよ。
健康、賭け事、異性、センス、思い出・・・。
なんとなく、分かるだろうさ。
次回
もてなし実践。
斬鉄剣
どうやら、この世界には色々な斬鉄剣が存在しているようである。
僕が知っているのは「ルパン三世」「FF」だけで、それについて書こうと思ったのだが、調べてみると他にも幾つかあるようで、こりゃ鉄もたまったもんじゃないよネ、と深い同情である。
続きの読みたくなる書き出しを終え、本題に入るが、本題に入るっていうほど入らないで終わるので、楽にして、そう背もたれに寄りかかるなどして読んでもらいたい。
ルパンの方の話。
最近「斬鉄剣で切れないものはあるか?」といったたぐいの議題を何度か見る機会があった。
答えはさておき、この議題は「斬鉄剣で切れないものはない」という情報がかなり一般的に浸透していないと成り立たないお話である。
例えば「腹筋の割れていても、割れたところを指でなぞらない人がいるか?」という議題があったとする。
こう質問された場合、多くの人は「?」である。
なぜなら「腹筋の割れている人は、そこを指で必ずなぞります」という情報が、全く一般的でないから。
一般的でないことの、さらに意外な面を聞かれても、よくわからないのである。
さらにこの例題だと、「腹筋の割れている人は、そこを指で必ずなぞります」は一般的でない上に、おそらくうそであるため、なおさらだめだ。
そんなことを鑑みると。
「Bダッシュジャンプで飛び越せない穴はあるか?」
これはなかなか心地よい議題である。
なぜなら、かなり多くの人は「Bダッシュジャンプは全ての穴を飛び越えることができる」と思っているし、その転回的意見として「パタパタの利用も考慮しないと活路が見出せない穴もある」が、あるからだ。
パタパタの件が挙がったとき「そうかー、パタパタも重要だったな。」と全員がパタパタの重要性を再確認し、頭の中でAボタン押しっぱなしで彼を踏む。
そういや、踏んだときの点数は何点だったっけ・・・。
みんな心地よい。
実は、一般的な情報というのは、知ってると2度おいしいものが多いのである。
その理由のためだけでも、一般的な、まっとうな人間というのを目指すことには価値があるというもの。
もちろん、斬鉄剣のこともBダッシュのことも、知っていないとまっとうとは言えないようだが。
空き巣たち2
昨日からのつづきです。
【あらすじ】
老舗のバー「ほっかむり」。
全国で活躍する「空き巣」達が集まり、その武勇伝を披露するテーブルでは「物件を物色中、こんなのが干してある家があった」というお題で盛り上がりを見せていた。
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テル「ちょっと趣向が変わりますけど、例えば警察手帳が干してあったら、どう思います?。」
タケちゃん「空き巣に対して、意識持ちすぎじゃね?、って思うよ。」
テル「確かに、ちょっとダイレクトすぎますよね。威嚇しすぎ。」
ミヤマ「それが、そういう意図でないとしたら、「あー、それ洗っちゃったか?」って思うな。」
ゴンゾー「そして、「さらに干しちゃったか?」って思う。」
テル「エロ雑誌が干してあったら?。」
ミチ「拾ったか?、って思う。」
タケちゃん「干すときに開いているページが、ポイントだったんだな?、って思う。」
ミチ「でも、エロ系だったらもっと、干すとおもろいもんあるだろう?。」
一同「・・・」
テル「小学生のテスト用紙だったら?。」
ミヤマ「せっかく捨てたのに、拾われたんだなー、って思う。」
ゴンゾー「捨てる場所を、もっと精査すべきだったんだな。」
テル「宝くじだったら?。」
テル「こりゃ、ぜったいイイモノだ、ってなりますよね。」
ミヤマ「いや、結構考えさせられるぞ。これ。」
ゴンゾー「期待させておいて、ブーでしたってのは、ある話だ。」
ミヤマ「ブーだったら、これは空き巣に対する宣戦布告になりますね。」
ゴンゾー「そしたらうちら、速やかに降伏だな。」
テル「糸のついた、あやつり人形だったら?。」
ミヤマ「どうやって洗ったのかなー、って思う。」
タケちゃん「洗ったあと、からまった糸をほどく使用者のことを思う。」
ミチ「洗濯機の中を、顔だけ出してぐるぐる回ってるのが、いいと思う。」
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・
・
ゴンゾー「今日はこのくらいで終わりか。」
ミヤマ「今日は制限がきつかったですねぇ。」
テル「でも、何で今日は、こんなにハードル高くしているんですか?。」
ゴンゾー「・・・今日でこの会をやめようと思っている。」
ミヤマ「え、何でです?。」
ゴンゾー「ここにいる全員、空き巣に入ったこと、ないだろう?・・・」
一同「・・・」