リンケージ、やる気。

「やる気スイッチ」のコマーシャルは実際のターゲットについてはともかく、かなり印象づけられる点ではCFとして成功している。
他のところとは違うところを見せたいのか。
多少ずらした感じの塾のCFは、なんかいろいろ大変なんだろうな、と少子化を危ぶんでみたり、空を見上げてみたり、小鳥とお話をしたり。
いろいろと憂鬱にさせる。
うちの猫には、結構全身は白いのだが顔に不均一な灰色の模様の入った、残念な猫がいる。
その猫の腹の、ちょうどへそっぽい部分には灰色の模様がやはりあり、悲しいかな彼は人間に捕まると腹をさらされ、いつも「やる気スイッチ!!」と叫ばれながらそこを押されてしまうのだった。
彼は、おびえて隠れて生活している。
さて、確かCFでは、「やる気スイッチ」はいわゆる「トグルスイッチ」で、ONとOFFを交互に切り替えられるものだった気がする。
普通に考えれば、やる気は一度ONにしたらそれを維持。
スイッチは一度押したら戻ってこないような、そんなボタン形式がいいのではないか。
そう思ったのだが、やはりそれは「OFFも必要」という至極当然な話もあるだろう。
となるとトグルの方が優れているか。
そういえばトグルには「今がONなのかOFFなのか、明瞭」という利点もある。
先ほどの猫は「やる気スイッチ」がただの模様なものだから押したかどうだか永遠に分からず、永遠に押されてしまうことを考えても、トグルがいい。

リンケージ、脳。

ある教室で、英語教師の米国人女性がこんな話をしてくれたのを思い出した。
(注:気持ち悪いところあり)
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わたし、地元の駅でこんな体験をしたわ。
いつものように地下鉄に乗って帰ってきて、階段を上がっていったとき。
何か調子の悪そうな。
そう、酔っているような男の人が階段を降りてきたのよね。
ふらついている彼を横切ったと同時に、彼は階段を踏み外してしまったの。
私は慌てて振り返って彼を介抱しようと思ったんだけど、一目見てそれがほとんど意味がないことなのかもしれないことを理解したわ。
彼は頭の打ち所が悪かったみたいで、大脳がきれいに出てしまって、階段にころんと転がっていたんですもの。
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と、こんな感じだ。
もちろん他意はなく、仕方のない事故だ。
もしかしたら創作ですらあるかもしれないのだが、それにしてもやはり後味は悪い。
ただ当時、何よりも疑問が先に生じた。
なぜ彼女は授業にこんな内容の話を採用したのだろうか。
今考えてみると、私たちは英語の授業にあまり興味がなかった。
それは彼女の授業のやり方どうこうではなく、ただやる気というものが欠落していた。
だから授業はいつも静かで、彼女の大きな話し声だけが部屋を満たしていた。
やる気がなくて申し訳ない。
そして思う。
人に興味を抱かせなくてはいけないというのは、誰だって頭の痛いことなのだ。

リンケージ、白子。

僕には苦手な食材があって、それは干しぶどう。
以前書いたと思うが、何をフレッシュなフルーツを干しているのか、という気分になる。
一方で、「本気を出したらもちろん食べられるけど、まあ今はまだそういう状態じゃないから」という食材もある。
それが「なまこ」「ほや」に代表される「人が食べているぶんにはいいが、自分はいいです」系のもの。
僕にとってそのなかには「白子」も含まれている。
確か「美味しんぼ」だったか。
白子と子羊の脳が似たようなものだ、としていたのは。
食えるものは食えるだけでありがたいため、それについて本来、とやかく言う事ではない。
しかしそういう考えを持ってしても、双方甲乙付けがたい「自分はいいです」系。
中から何が出てくるかは分からないが、とにかく何かは出てくるんだろうと想像できるハリとツヤを持ち、そして生物の中にあるとは思えない白さ。
以前、居酒屋で面と向かってみたものの、結局は口に運ぶ事はできなかった。
食材の話だから同物同治の話をしてもいいかも知れないが、何か今回は流れが良くない。
「干しぶどう、白子」
ほら。

リンケージ、シロアリ。

残念な事に「シロアリが得意な人」という人を僕は見た事がなく、それはその容貌や「わんさか感」、そもそも虫だという、理由に事欠かないこと。
そして有名な「家の木材部分を食い荒らす」という、彼らが体内で木材の成分を分解できる細菌を持っているからこそ行える気持ち悪い性質も、原因になるだろう。
昔、家を荒らされた事があってもなくても、嫌い。
今、ちょうど家を荒らされてる人だって、嫌い。
家を荒らされてはいないと思うが、今目の前をシロアリが歩いているっていう人だって、嫌い。
人はシロアリの事を嫌いなのだ。
それでも僕は思う。
幾人かは「シロアリの女王のお腹部分に食欲がわいた人がいるのではないか」と。
タンパク源として虫を昔から採用していた人たちはもちろんいいのだが、そうではない、例えば日本の虫を常食としない地域。
そんなところの人たちでも、いると思うのだ。
あの、大変な事になっている女王アリのお腹がうまそうに見えた人が。
僕は触る事すらできないだろうが、想像はできる。
その人たちは、おそらくその味を「白子」っぽいのと考えているのではないか。
「森の白子」と呼ばれる日は来るのだろうか、シロアリの女王。
いや、彼らはもう人間のすみかに進出していた事を忘れていた。
「家の白子」と呼ばれる日が来るのだろうか、シロアリの女王。
そっちの方は、冷蔵庫の方で十分なのだが。

リンケージ、ミネラル。

ジェネレーションギャップというものを恐れなければ、僕らにとってミネラルとは麦茶の事で、むしろ摂取方法が麦茶しかないなんて思っていたりもして、なんてテレビの影響力はすごいんだ。
ただし、僕はミネラルについてはもうひとつ思い出される事があって、それは主に妊婦さんで知られる異食症についてだ。
何かの本で読んだ事のある、普通は食わないものを食う異常な症状だが、妊婦さんのは赤ちゃん分が差し引かれてしまうのか。
鉄分が足らなくなるのが原因らしい。
そんな異食症、「昔、妊婦さんが土でできた壁を食いまくる」というかなり衝撃的な事例を読んだとき、かなり強く刷り込まれてしまった。
今でこそ異食症は知られているからいいが、昔は突然壁を食い出す妻を見て、ダンナはどう思ったのだろうか。
「シロアリの霊が取り憑いた」
7割はそう思ったのではないか。
ともかく、なぜミネラルで異食症のことを思い出すのかというと、まあ土壁からはミネラルたくさん取れそうだよね、ということでして。

リンケージ、しょっぱい。

僕はうめぼしがあまり得意ではなく、それは単にしょっぱすぎるというのだけが原因だ。
あれはもう、薬剤師の免許を持っている人が隔離された場所で扱うレベルのものだよ。
でもなぜか日本ではおにぎりや白いご飯に対するアクセサリとしては上位にいる。
故に食卓にのぼる機会も多い。
確かに見た目はいいのだ。
梅肉のやわらかいものなんて、確かにほぐしたくなる。
しかし舌を塩蔵する勢いの塩からさ。
健康にもよくないのではないか。
ということで何となくうめぼしでいいことを考えると、こうなった。
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小さい頃、近くには梅林がたくさんあった。
そこには収穫されないような青梅がたくさん落ちていて、それを拾ってはよく同級生に投げつけていたものだ。
ある日、いつものように青梅を拾って標的を探していると、「ちゅろし」がこっちに歩いてきているのが見えた。
「ちゅろし」は僕よりひとつ年下で、おどおどした雰囲気がかわいい。
要はいじりやすいタイプなのだ。
僕は当たらないように、しかし「ちゅろし」の近くを通るように、思いっきり青梅を投げつけた。
それは、いつもの光景だった。
青梅が「ちゅろし」めがけて飛んでいく。
しかしおかしい。
いつまでも青梅が飛んでいる。
とうに「ちゅろし」を過ぎても飛んでいる。
そのまま見えなくなってしまった。
僕はばつが悪くなり、何が起きたか分かっていない「ちゅろし」と一緒に帰った。
15年後、突然「ちゅろし」から電話があった。
こないだ、面白い事があったんだよ。
ご飯食べてたら、「好き」って刻まれたうめぼしがひとつ落ちてきたんだ。
僕はこの電話で全てを把握した。
まず、僕が15年前に「ちゅろし」に向かって投げた青梅は何らかの理由で重力の束縛から抜け軌道上にのった。
そして地球を見下ろしながら15年間、以下のようなことが何らかの理由で起きたのだろう。
・ほどよい水分の除去
・塩分に相当するミネラルの付加
そして15年後、何らかの理由で軌道からはずれ、地球に落下してきたのだ。
さらにそこから「ちゅろし」のご飯の上に落ちてくるまでのあいだ、大気に潜む粒子など、何らかの理由でうめぼしに傷がついたのだろう。
それが、何らかの理由で「ちゅろし」の家へ。
何からの理由で屋外で白米を食べようとしていた「ちゅろし」へ。
それにしても今になって「ちゅろし」のもとにあの梅が届くとはね。
「ちゅろし」は僕の初恋の人だった。
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本当、こうなったんだよねー。

リンケージ、錬金術。

科学の発展を語る上で、戦争と並ぶほどに「錬金術」というものは重要らしい。
それはFFのエリクサーと呼ばれる全快アイテムがそこに端を発しているということからも分かる。
ごめん分からない。
ともかく手法や器材など、錬金を目指していろいろやったことが結果的には近代科学の礎のひとつになったのだろう。
さて、僕にとって「錬金術」というのを考えた時、せいぜい出てくるのは「ハガレン」。
といいたいところなのだが、残念ながら僕は漫画アニメどちらにしても「鋼の錬金術師」に接した事がない。
こんなことなら読んでおけば良かった。
ということで出てくるのは「わらしべ長者」というイメージだ。
その、「しょっぱいもの」から「いいもの」を産み出そうという過程が彷彿とさせるのだろう。
じゃあ、さっそく置き換えてみよう。
鋼のわらしべ長者
これから受けるイメージは、「ノーリスクで品物をさばいていく、堅実かつ狡猾なやり手」という感じであるが、いかがだろうか。
ハガワラ
これから受けるイメージは、「ぎりぎり名字なのではないか」という感じであるが、いかがだろうか。

リンケージ、大理石。

大理石だったかどうかはいきなり分からないのだが、コールドストーンというアイス屋さんは冷やした石板の上でアイスやトッピングのナッツ、ケーキなどをこねくり回しておいしくするという、ある意味錬金術のようなことをしでかす。
アイスとケーキと多少の空気と歌声の混じったそれは、確かにおいしい。
だが、このアイスを食べるとき、そのおいしさが全てを網羅したおいしさではないことの気づく。
コンビニで売っている100円のアイスもおいしいのだ。
こうなると僕のアイスに対するおいしさの閾値が低いのではという気もするが、一方で同意見だと言う人も多いのではないか。
「ガリガリ君はガリガリ部分よりもそれをコーティングしているサクサク箇所の方がおいしい」
これじゃなくて「こねくり回した方と100円の方のアイスは、おいしさの方向が違う」という点。
「雪見だいふくの、餅部分を甘くした開発陣には頭の下がる思いだ」
これじゃなくて、おいしさというのは拮抗しなくても両立できる事もあるのだという点。
「pinoは、量的にはざんねんな気がする」
これじゃなくて、正直コールドストーンのアイスをまだ食べた事がないかもしれない点。

リンケージ、灰皿。

副流煙を嗅ぐのは好きだが、タバコを吸わない僕にとって、灰皿はそれほど親しみのあるものではない。
タバコを吸う人とご飯を食べていても灰皿を相手に促す事にも気づかないし、そもそも禁煙席、喫煙席というのを意識することもない。
街角のどこの路上に灰皿ゾーンがあるかも興味はなく、憤りのあまりに鈍器を探すとしても、それはたいてい大理石の灰皿ではない。
相手を威嚇するために両手に灰皿を持ち、頭を交互に殴打する事もなければ、この事を書くために島木譲二を調べたところ「持ちネタがかなり多いが、特別面白いというわけではなく」とあり、なんだお前に島木譲二の何が分かるんだと憤然たる思いが生じるわけでもない。
猫を飼っているからか、うちの灰皿は青銅製の重たいもので、ひっくり返される事もなければそこにたくさん灰が溜まっていたとしても特に捨てるという行動に結びつかない。
ハードなスケジュールをこなしたあと、夜景を見ながら屋上で一服ということもなければ、好きだった女の子がタバコを吸っていたから携帯灰皿だけ持ち歩いてたということはないわけでもないので、まあ。

リンケージ、UFOキャッチャー。

僕は昔から「幽霊、いる?いない?」みたいな本が好きで、「化学のふしぎ」「偉人のれきし」「おりがみ大百科」と同系列の出版物に「幽霊、いる?いない?」のあることがことさら気に入っていた。
子供とはいえ「偉人、いる?いない?」というのは何かおかしいと思っていたから、それを考えると偉人はいるんだな、と考える。
そして一方で「幽霊のれきし」というのも何か、えっ、もういるっていう感じに世間はなってるんだっけ、と考える。
よって「偉人のれきし」も「幽霊、いる?いない?」も誠に正しいタイトルで、タイトルを疑ってかかっていた幼少の頃の僕の明晰さには驚くばかりである。
という感じで、児童館では幽霊やらUMA的なものやらそういうものを、実際近くにいたら困るとか考えながら読んでいた。
さて、その「同系列の出版物」には確か「UFO」の本があったように思う。
内容は様々なUFOの目撃例が漫画で紹介、有名どころの写真も掲載されていた。
今でも正直気持ち悪いと思う「フラットウッズの宇宙人」も書いてあって、そのインパクトは、こうインターネットで調べなくてもうちにある本で「フラットウッズの宇宙人」を調べる事ができる今の環境を築かせた。
その本のなかに、ことさら印象深い事件が掲載されていた。
それは虫を取りにいった少年が銀色の小さい飛行物体を捕まえたという事例である。
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その日、火野正平(仮名)少年は虫取り網とカゴを持って草むらへ向かった。
あらかたその草むらの虫を駆逐し、さて帰ろうかというとき、銀色の灰皿のようなものが地面に置かれているのに気づいた。
それは少し浮いているようで、興味を持った少年は虫取り網を振りかざし、その物体を捕獲する事に成功。
物体を観察してみると裏側にある隙間から、ぎっしりと機械が詰まっていることがわかった。
カゴに入らなかったので袋かなにかにいれ、それを手首に巻いて自転車乗っていた時、すごい力で手首が引っぱられて転倒。
慌てて袋の中を確認すると、その物体はなかったという。
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世にも珍しい、UFOキャッチャーの話である。