このあいだ、久しぶりな人たちと久しぶりに飲み会が行われた。
僕が、大きな古時計のように動かず、夏のように何も言えなかった飲み会である。
さてその帰り際、「nimbusさんのまっくろくろすけのモノマネが云々」と言われた。
そう、僕はとなりのトトロに登場するウニ様のキャラ「まっくろくろすけ=すすわたり」のモノマネを披露し、幾人かの目をつぶしたことがある。
彼女は、それを覚えていてくれたのだ。
しかし僕は困惑した。
その日、彼女との初めての会話がそんなだったので、もはや「nimbus=まっくろくろすけのモノマネ」であることは疑う余地がない。
僕はまっくろくろすけであり、まっくろくろすけは「わーにゃ」と言うこと、すすであること、空を飛ぶことくらいしか知られていない。
残念ながら僕はすすではなく、空も飛べないので、またしてもモノマネをせねばならないのか、と困ってしまったのである。
もちろん、路上で披露するシロモノではない。
内容もひどいが、何よりもモノマネ中、僕はバナナマンの、ゾウのひざこぞうみたいな方の感じになってしまうのだ。
ということで、彼女には申し訳なかったが、僕はモノマネをすることもなく「そんな時代もあったね」と、そのとき話した。
自らのアイデンティティを放棄したわけだ。
そして「1ヶ月に1度くらいの頻度で「となりのトトロ」を放送すれば、日本の犯罪率は低下するのではないだろうか」という持論をといた。