高齢の方に「昔の話」として聞いたものだから、その点でも他意がないとわかっていてもらいたいのだが、「昔の話」をする。
サラダを作っている工場で働いている外国の作業員。
彼は流れてくるプチトマトをサラダに入れるために、ベルトで流れてくるトマトの選別をしているのだが、そのトマトをまれにひょいっと食べてしまうのだという。
話をしてくれた方がそれを咎めると、そのときだけ日本語がわからないようなそぶりを見せる。
あるいは「むしろまれに俺の口のなかに入ることがある方が普通なんだ」と妙な理屈を言う。
僕は、毒を入れるのだとか悪意あるものを混入すること以外では、こういうのはあまり気にならない。
流れてくるトマトのほとんどを食べてしまうというのも、結果的に僕がサラダにそもそもトマトが入っていないと勘違いしそうでもあるため、やはり気にならない。
ただ、彼にはマージンが必要だったのかな、とその点が気になる。
そして「仏壇の前に置いておいた供物は、味がしなくなる」という話を聞いた時、なんとなく上記のことを思い出した。
どのくらいのスピードで仏壇の前をトマトが流れていけば、トマトは味を失ってしまうのか。
トマトに味なんてあったっけ?。