阿蘇の産山地方から熊本駅へ向かうのに、阿蘇のおじさんがわかりやすいルートの入り口まで案内してくれた。
牧場なのだろうか。
広々とした高原に丘がいくつも積み重なっているようなところ。
この道を右にまっすぐ行き、突き当たりを右だそうだ。
おじさんに別れをつげてその道を進む。
周りの緑がなかなか気持ちいい道だ。
ところがいくつ目かの交差点に差し掛かったとき。
ナビが右に曲がれと指示してきた。
僕はこの日の朝、宿のおかみさんの忠告よりもナビを優先してしまったため、袋小路に入ってしまったことを思い出した。
ここはおじさんの言う通り、突き当たりまで直進するべきだ。
しかし考えてみると、結果的には右に行くのだからどこで曲がってもいいんじゃないか。
そんな気もしてきた。
信号待ちも終わり、なんとなく右折してみた。
これがいけなかった。
道に迷ったのではない。
続く限りの一本道だった。
とにかくすごい霧である。
阿蘇の霧はこんなことになってしまうのか。
「白い水に突入」という叫びを最後に、目の前の道を見失わないように徐行運転した。
のならいいのだが、地元の人は慣れているのようで、通常運転で霧を払っている。
仕方ないのでそれに続く。
いつ空中遊泳してしまうのか。
ハリーポッターの何作目かに出てきた魔法の車の挙動を、普通乗用車でしてしまうのか。
気が気でなかった。
もしかしたら雲だったのかもしれない。
その霧状態は30分ばかり続いた。
へとへとになりながらもその高原をやり過ごし、あと1時間くらいで熊本というところまで来ると、そこは大雨だった。
霧を洗い流してくれるのはいいが、今度は水しぶきと轟音で日光の猿2/3分の気持ちを感ずる。
この仕打ち、なんで?。