A:これは小さい頃からの癖なので、どうしようもないんですけどね。
A:自分の考えがコントロールできない、っていうか。
B:というと?
A:自分の考えに逆らって、勝手に最悪を想像してしまうんです。
A:例えば歩道で小学生がこちらに向かって歩いてくる。
B:ええ。
A:すると、その子が転んで車道へ出てしまう事を想像してしまうんです。
A:もちろんそんなことはない、と考えるんですけど、別のところではその事態がどんどん悪い方向に向かっていく。
A:最後には、自分の上着をどうかけてあげるか、まで行き着いてしまうんです。
B:それはなんだか大変ですね。
A:混雑している駅のホームで、電車の警笛が聞こえてきたら、もう大変です。そんなことにはならないって思うのに、一方では最後の言葉は何にしようか、なんて考えてしまう。
B:心配性なんですかね。
A:だけならいいんですが。
B:ちなみに今はどうですか。
A:今はだいじょうぶです。特に何も悪い発想は出てきていません。
A:けど、何かきっかけができてしまったら、わからない。何か心配になってしまうかもしれません。
B:たとえば?
A:えー、たとえば、今カーテンを閉める音が聞こえたら、最終的には動物病院で泣いている感じになります。
B:けっこうなドラマが展開されるんですね。
A:勝手に想像してしまい、しかもそれが最悪の出来事に行き着いてしまうんですから、つらいです。
A:もし香水のかおりがしてきたら、たぶん「宇宙人め、生体実験ばかりするな!!」で終わりますね。
B:じゃあ、今わたしがあなたに対して拳銃を向けたら、どうですかね。
A:さっき考えていた「最後の言葉」を、別の言葉に考え直すと思います。
B:電車で来たんですね。