探す

コンタクトレンズが取れてしまったとする。
それはけっこう、漫画な光景だ。
しかし周りの人は眉間にシワを寄せて道路に目をこらすあなたを見て事態を把握、探すのを手伝ってくれるだろう。
そして見つかる。
ここで、どんどん「周りの人」を増やしてみる。
まずふたり。
計3人が屈みながら地面を見ている。
さらにふたり。
5人が落ち穂拾いだ。
さらにふたり。
この辺で「もしかしたら服に付いているかもしれません。回って見せてくれませんか」となる。
見つめるふたりの前で回ってみせる。
そしてふたり。
ちょっと範囲を広げてのコンタクトレンズ探し。
ふたり。
「ずっと回っていたんじゃ大変でしょう。わたしが回してあげます」
回してもらっているあなたを見る2、3人。
周りを探す10人弱。
ふたり。
「これは本腰を入れる必要がありそうだ。とりあえずみなさん、松屋に行きませんか」
ふたり。
照明機材を用意しましょう。
ふたり。
水買ってきましょう。
ふたり。
ああそれ、ぼくがやっておきますから。
すいませんねぇ。
ふたり。
ああそこは探しましたから、あっちの方向お願いします。
・・・
こうなってしまっては、誰もコンタクトレンズを探しているのだなんて考えもしない。
もはや「国のきっかけ」みたいなことになっている。
ぼくはここまで探しましたから。
土地の獲得である。
あっち、涼しかったですよ。
避暑地の誕生である。
お菓子買ってきましたよ。
職業の誕生である。
国が土地と避暑地と職業で成り立っているかどうかは分からないが、きっかけとしては十分だろう。
あれ、あのお立ち台みたいなところででプロレス技かけられてるのは誰ですか?。
おなじみの国王である。

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