かわはぎ

キャットフードコーナーに差し掛かるところで、こんなものを見つけた。
「かわはぎ」
犬猫に与えるらしいおやつだった。
よく見ると、酔っ払いおっちゃんが一生懸命噛んでいそうな、立派なかわはぎだ。
飼い犬猫はいいものを喰っている。
それにしても堂々と「かわはぎ」と書かれたパッケージ。
その字の左上に付加されていた、何か遠くを見つめる犬猫のイメージ画像もあいまって。
「ああ犬猫にとっては、かわはぎは思い馳せるものなんだな」と感心してしまった。
しかし「かわはぎ」は、何か隙を突かれてしまい、面白い。
そんなに堂々と「かわはぎ」と書かれてしまっては「そうだよねかわはぎだよね、ごめんなさい」と意味もなく謝ってしまいそうだ。
かなりバイオレンスなネーミングなのに。
ちょっと、かわはぎおもろかったななどと言いながら進むと、次は同じシリーズの「いわし」があった。
このとき、僕らはなんとなくわかっていた。
「なんか分からんけど、今は4文字のがいい」
いわしの棚を探してみると、あった。
「きびなご」
僕らは「か?わ?は?ぎ?」「き?び?な?ご?」と言いながら、よりちゃんと探した。
「ぶたみみ」
かなりいいのが見つかった。
このへんまでくれば、あとは商品がなくとも「ぶたばな」は想像できるし、そもそももうモノを見ることさえ必要ない。
なんとなく4文字のものを発想して、勝手に面白がれる、自己完結型に推移できるのだ。
「かわはぎ」「きびなご」「ぶたみみ」「みねうち」。
「かわはぎ」「きびなご」「みねらる」「しずおか」。
「かわはぎ」「ふりつけ」「うずまさ」「いりのい」。
「みねらる」に思い馳せる犬猫を想像して、たまらなくなった。

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