本日の結論
マルチーズは、電車も喉元をつけば倒せると思っている。
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先日、ある踏切で信号待ちをしていた。
ここの踏切は、遮断に踏み切る電車の距離が非常に遠く、すこぶる待たされることでしかし、人の通行自体もそれほどないことから、特に有名とは言えない踏切である。
さて僕の後ろに、僕と同じように信号待ちをするおじいんさんがいることに気づいた。
そのおじいさんは、連れていたマルチーズをあやす姿を見る限り、かなりのマルチーズ好きのようすで、何かを絶えず語りかけていた。
突然、マルチーズがすごく吠えだした。
僕らにはまだわからないが、どうやら電車がこちらに向かっているらしいのだ。
線路の先に向かって、吠えている。
事実、少しすると電車が遠方よりこちらの踏切に向かってくるのが見えた。
すると、マルチーズの吠えは過激さを増し、でもおじいさんは愛おしむようにそれを見る。
そして、電車の先頭車両が踏切にさしかかった瞬間、マルチーズは線路沿いの道路をかけ、電車を追いかけ始めた。
もちろんおじいさんもそれに合わせ、よろよろ走り始めた。
僕は思った。
マルチーズはどうやら電車の先頭車両を、電車の頭であると認識しているようだ。
ただの威嚇なら、通過していく電車に対して吠えるだけだろう。
でも、彼もしくは彼女は電車の先頭車両を明らかにねらっている。
狩猟を行う動物が獲物に対してねらう部位は、まずは相手の動きを効率的に押さえることのできる、呼吸器官系であるというのをどこかで聞いた。
要は鼻であったり、のどであったり。
マルチーズは電車の先頭車両付近にそれがあると認識したのだ。
小さくて白くてふわふわしているヤツなのに、勇敢だ。
ただ、電車はその車両ひとつひとつに動力が付いている構造から、どちらかというと虫っぽいかも、と僕はため息を、特につくこともなくツタヤに向かったのである。
追記
電車は、その車両ひとつひとつに動力が付いている構造、かどうか、ほんとは知りませんので、ごみんなすい。