【あらすじ】
なんということか。
チョウチョが、蜜に飽きてしまった。
しかし、彼らの口は、だいぶ蜜を吸う用に特化している。
どうしよう・・・。
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・・・どうにもなりませんでした。
空腹だが、とにかく蜜に飽きてしまった彼らが最初に試したのは、果物でした。
ストローのような口を果物に突き刺し、中の空洞部分に詰まったやつを食べようとしたのです。
しかし、突き刺さりません。
イチゴや熟した無花果などのやわらかい果実ですら、文字通り歯が立ちません。
果樹園は、まるで落ち葉が敷き詰められたような情景となりました。
ここで世界中の2割のチョウチョが死にました。
残ったチョウチョたちが向かったのは、焼肉屋でした。
もちろん肉は食べられないが、いいにおいを口で吸い続ければ、空腹くらいは満たせるのではないかと思ったからです。
彼らは焼肉屋の出入り口や換気孔に殺到しました。
・・・だめでした。
ここで、ほとんどのチョウチョが犠牲になりました。
あるものは自動ドアにひかれ、あるものは熱風に躍らされ燻製に。
阿鼻叫喚でした。
最後のチョウチョの死体が見つかったのは、レンゲソウの花の上でした。
彼らが蜜の偉大さを再認識できたのは喜ばしいことですが、少々遅すぎたのです。
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「先生。チョウチョが全部死んでしまっているとしたら、僕らの見る、あのひらひら飛ぶ生き物はなんなのですか?」
「本質的で、重要な質問だと思います。あれは、うそです。」
「うそだったんですか。」
「そうです。うそです。」
「この世の中、うそがずいぶん飛んでいますね。」
「ええ、気を付けましょうね。」