「すいません、これ何ですか?」
「ああ、これ?。ここ、天橋立でしょ?」
「あの、有名なのあるじゃない?」
「日本三大名所、みたいな?」
「まあそうなんだけど、ほら、股から景色見るやつ、あるじゃない?」
「ああ、股からのぞくやつですね」
「そうそれ。これ、股のぞきの補助器具なんだ」
「補助器具?」
「そう。ほら、普段股から物を見るなんてしないよね。」
「ええまあ。」
「姿勢も不自然で、体勢を崩す。けが人が出るくらいだったから、補助器具を設置したんだよ。」
「確かに変な体勢ですからね。ところで100円入れるところがあるんですけど。」
「そりゃあるだろ、どこの展望台の双眼鏡にも付いてる。」
「でもこれ、別に100円入れなくても、なんか、出ちゃってるでしょ機能。」
「別に、寄りかかるだけでもう股開きが楽にできちゃう、と。」
「股のぞき、ね。ええ、そうだと思うんです。」
「確かに。例えば双眼鏡の方は、100円入れないと見せてくれない。こいつはただ、利用した人の自発的な支払いを期待しているのか、あるいは何か100円を入れる事で特別な機能を発揮するのか。」
「股のぞきの特別な機能・・・。景色がよりきれいに見える、くらいしか思いつかない。」
「何なら、見比べてみたらどうかな?。普通に見て、それから補助器具の方から見て。」
「お金かける分、きれいに見られる気もしますしね、試してみますか。」
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それから550年後
レポーター「ここが京都州で有名なスポット、天橋立跡地です。」
「今はもうその姿を見る事はできませんが、愛されていた景色を見るための儀式が残っています。」
「股から顔を出しながら50mほど離れたお賽銭箱に100ポン(※)を入れるというものです。」
「今日も大勢の観光客が、股から顔を出しながらお賽銭箱に向かっています。」
「慣れたものですね。」
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※ポン
2565年の日本における通貨の単位。
「ニッポン」の「ポン」にかかっている。