味がしみ込んでいようが、まっしろであろうが、僕は非常にはんぺんを好む人間なので、おでんの中にはんぺんがないときはかなり悲しい。
先日、関西の人から聞いた「はんぺんというものを最近初めて見た」という事実は、僕の関西の印象を著しく低いものにした。
「関西の人、ちょっとはんぺんがないのはまずいんじゃない?」
何がまずいのかというと、せっかくたこ焼きなどのおいしいものがある「天下の台所」であるわけだから、そこがはんぺんを逃しているのだとしたら、「天下大部分の台所」とか「天下90%の台所」、「天下の0.9LDK」などと記さなければならない。
そこがまずい。
ちなみに僕は「天下の台所、大坂」はもうさすがに「天下の台所、大阪」でいいんじゃないかと思っている派である。
ともかく、はんぺんがないのは悲しい。
ただ、これもそうサンプル数がない意見であるから、関西で全くはんぺんがない、ということではないだろう。
僕からしてみればはんぺんはかなりうまいから、その知人のところでもそれがなかったとは考えにくい。
おそらくだが、「はーぺん」など少し違った呼び方だけされていて、実際はあったのだと思う。
ということで、僕の中でのおでんの最たるものは、「ふたを開けたらはんぺんが膨れて表面を覆っている」ものである。
そして具がちくわぶばかりだったら、申し分ない。
どうも、味がしみ込まない食材が好きなのである。