KILL、殺すという意味じゃ。

また妖怪の話で恐縮なのだが、僕が気に入っている言葉のひとつは、ゲゲゲの鬼太郎の目玉の親父が言ったものだ。
「KILL(キル) 殺すという意味じゃ」
ツイッターにもこの言葉に注目した人がいるらしく、いやあ奇遇ですなの心境。
ちょうど資料が手元にあったのだが、これは「家獣」という家の形をした妖怪の話のこと。
※家獣とくれば悪魔くんだが、鬼太郎のこの話では敵役だった。
鬼太郎に敵意むき出しで迫る家獣の煙突から、何やら煙が出てきる。
そして何やら形を成していく。
どうやら意思の表現を言葉ではなく、煙の形で表現するタイプの文化らしいのだ、家獣は。
そしておぼろげに「そう」見えた時、目玉の親父が説明してくれたのが、上記のセンテンス。
「KILL(キル) 殺すという意味じゃ」
なかなかいい。
相手に隙があるならば、使っていきたい。
しかし、なぜ魅かれるのだろうか。
それはおそらく、もう耳にする事はできない、失われた言葉だからだろう。
そこらの年齢制限のない漫画、ゲームなどに複数触れれば、もうキルなんて言葉はいくらでも出てくる。
残念ながら、私たちは生まれてすぐに「KILLという言葉を知らないこと、が失われている」と言えるのである。
それでも、家獣が襲ってくるときに親父はいつも教えてくれる。
キルは殺すという意味である事を。
そのたびに、僕はこの言葉を知らなかった頃のことを思い出せない事に対して、心締め付けられるような気分になるのだ。

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