「串かつを串かつであると確認するためには、その串かつをかじって味わわなければならない」
ある物理学者がそう伝えたように、串かつほど「確認の必要な」食べ物はそうないだろう。
それはもちろん、とんかつやフライドチキンのように独特な形をしていないため、結局は何を揚げたものなのかがわからないという串かつの主な特徴に起因した問題である。
誰しも経験があるように、串かつと思ってかじったらタマネギばかりを揚げたものであったり、うずらのたまごであったりするわけだから、当人の心象はいいものではない。
「肉と思っていたら、たまねぎかよ!!」
こういうのは、実は結構びっくりすることである。
思わず口から出してしまう人もいるだろう。
しかしどれも、かじらなければわからなかったことである。
たとえそれが消しゴムを揚げたものであったとしても、かじらないまでは「ああ、あそこに串かつがあるから安心だ」などと勘違いした状態であるわけで、その「串かつ」が切り札であればあるほど、その勘違いは致命的なものとなる。
「お客さんが来たから、あそこの串かつを出そう」
このとき、消しゴムをあてがってしまう方が大変だ。
ならば、串かつはまず、かじろうではないか。
串かつには「かじったあとの整形がほぼ不可能」という致命的な欠点があるが、それがどうしたというのか。
たれの二度づけを禁止する法はあれど、かじり状態づけ禁止はない。
いやあるか。
なかったとしても、もっと根源的にだめか。
どうなのか。
あんまし串かつ好きじゃないからなあ。