やはりたこやきの間食がいけなかったのか。
1日目の「大量の夕食をどうにか攻略」という偉業に対し、2日目の夕食は致命的なまでに食べられなかった。
仲居さんも心配する食べなさ。
その心配と僕の恐縮がまたしても混沌とし、もはや生きてこの部屋から出られはしないと覚悟すらする始末だった。
そして僕は今回の旅でひとつ、あやまちをおかしていた。
「海産物の苦手な人にとって、サザエ、アワビの肝はその旅行そのもの」
これは間違いで、正しくは「海産物の苦手な人にとって、サザエ、アワビの肝、カニ丸ごと、かぶと煮はその旅行そのもの」だった。
やはり地元で取れるから安いのだろうか。
もうなんか、豪華な物がたくさん出てくるのである。
そんななかでも、海の物が苦手な人にとっての「カニ丸ごと」「かぶと煮」もかなりのものだ。
朝食の「伊勢エビのみそ汁」もすごかった。
今、「伊勢エビのみそしる」とひらがなで書いたら「伊勢エビのみぞ知る」と読めて、まあ伊勢エビにしか分からないこともあるよな、触覚部分の脱皮の仕方とかなどと感じたのだが、とにかく朝食のみそ汁。
味はおいしいのだが一面に茶色の藻のような物が浮いており、失礼な話だがこれは主に動物園で、カバのいるところのプールに浮いている産物とそっくりなのである。
この手の物が苦手な人は、ちょっとつらいだろう。
そしてカニ丸ごと。
カニが好きで「やり方」を知っている人は、おそらくきれいに、かつおいしそうにそれを食べるだろう。
しかしカニが好きでない、あるいは「やり方」を知らない人にとっては、一般的に喜ばれる「かにみそ」部分がつらかったり、甲羅内側の何かびらびらしたものが怖かったりする。
かぶと煮。
かぶと煮とくれば「目のまわり」である。
これまた一般的には好まれるゼラチン質部分だが、苦手方面にとっては「おっ、ちょっとそれ待ってみて」と言いたくなること必至のぷるぷるだ。
食べたらおいしいことも多い分、ある意味もったいないことである。
ともかく、海産物苦手というものの認識を改める必要が生じた。
この改めは、今後いくらでも生じそうだが。