曲線と断絶

駅のホームで電車を待っていると、向かい側ホームに大きく「2」と書かれたシャツを着た人が立っていた。
「2」はすごく大きくて立派で、「なんの2位だよ」とかのツッコミがあまりにフトドキ。
そのすばらしさに感銘を受けた。
しかし困った事に、このすごさを誰かに伝えようとしても、「2」が「に」であるところが足をひっぱる。
どうも「に」だと気の抜けた感じになる。
こちらがどれほどにだにだ言っても、どうも「に」ではその立派さが伝わらないのだ。
な行がいけないと思う。
な行はやさしいが、その分迫力には欠ける。
その分「ご」は誰しも認める迫力がある。
「ご」に勝てるのはもう2文字以上のものだけで、ある意味異種格闘技枠を考えないとだめだ。
ああ、あの人はなんで「5」のシャツじゃなかったのか。
そうすればその立派さを、まあ「2」ではなくなったけど伝えやすいのに。
だが、あの人はそんな僕にこう言うかもしれない。
「あなたは誰かにそれを伝えなくちゃいけないんですか」
そりゃそうだ。
立派だったんだもの。誰かに言いたい。
「でも、その感動を誰かに伝えたところで、さらに深まるものでもないでしょう?」
そんなことはないですよ。
その人が一緒に感動してくれたら、それは大きい。
「それはただの共感。たとえ伝えなかったとしても、あなたのなかの2が強弱どちらにもゆらぐことは決してないでしょう」
そ、そうですけど。
「わたしは川エビの唐揚げのお皿の下にたまるエビのひげが大好きです」
奇遇ですね!!。
こうして僕は2のことを書いたりしているが、今日のホームでもその人は見つからなかった。
「2」のシャツを着ていないので、わからんのだ。

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