「前略」はもっと汎用的であって問題ないと思う。
使用する事により、伝えたい事がより明確になることもあるだろうし。
「前略 お金を送ってください」
本来、お金を送ってもらうときは、その理由であるとか申し訳ない事であるとかを示すべきだ。
しかし略した。
急ぎの用なのである。
「前略 自転車泥棒様へ」
これはこわい。
略した経緯を考えるだけでも怖いが、おそらくは怒りが言語を超えるか、見るに耐えない文面になってしまうから、略したのだろう。
「前略 ち?ずふぉんでゅさんへ」
一見、あだ名だかオフ会だかでの、ひとこまのように見える。
しかしよく考えてみると、「ち?ずふぉんでゅ」というのはあまり聞かれない。
ゆえに、「ち?ずふぉんでゅ」さんのことを知らない人にとっては、「前略」された部分は本来必要なのである。
おそらく略された部分には「ち?ずふぉんでゅ」さんが「ち?ずふぉんでゅ」たる要因が含まれているのだろう。
「ああそれじゃしょうがねえ。ち?ずふぉんでゅだ」
納得の理由である。
しかし、そこを略した。
これは「わたしはあなたのことをすごくよく知っています」を表している。
「前略 だめでした」
とかく我々は「略した部分を聞かせてごらん。だめだった原因がわかるかも知れないよ」と考えがちだ。
しかしこの文面から手に取るようにわかるのは、あきらめだけである。
あきらめているものに原因を示すのは、息の根を止めるのに等しい。
ともかくだめだったのである。
「前略 明日午前8:00までに伺います」
お金を返さないやつが悪い。