ジャージャー麺

「そういうひと」というひとがいる。
例えばそれは「みんなでレストランに入って注文をするが、何故か店員がその人の注文だけを忘れる」。
「全てそろいましたでしょうか?」
店員さんが言う。
しかし我々は、しめのライスだけが目の前にある彼彼女を見、みんな「この人はそういう運命の人だなぁ」と感慨深くなるのだ。
店員さんが悪いとも言える。
「レストランで白米だけを注文するって、あまりないんじゃない?」
しかし責めるわけにもいくまい。
運命は他人ですら巻き込む。
その日、彼は「ジャージャー麺」を注文した。
他の人はどうだったか知らないが、僕は色めきたった。
「こちら、ジャージャー麺のジャージャーになります」
店員さんがそう言ってジャージャー麺の「あん」だけを持ってくるのではないだろうか。
そう思ったのだ。
つけ麺の感じである。
普通、ジャージャー麺は麺と「あん」を別個に持ってくるようなものではないだろう。
しかし、こちらは目の前にお通ししかないような状況でも「料理でそろいましたね?」と思われてしまうような力の持ち主なのである。
期待大だ。
しかもこの期待には「ジャージャー麺のあんは何と言うのか?」というロマン疑問の解答が含まれている。
冒頭書いたようにジャージャーなのだろうか。
それともまた違うのか。
もう、すぐジャージャー麺が来ました。

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