もう、漬ける漬ける。

昨日からのつづきです。
【あらすじ】
「ハブ酒」「マムシ酒」「ムカデ酒」。
漬けたはいいけど、結局のところ何がにじみ出てんの?
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「こないだの漬ける?、の件だけど」
「まあそれはいいとして、今付き合ってる人とかいるの?」
「うん?、いやまあ漬ける話はいいじゃん、この際」
「ああ、いないんだ、そう」
「え、に、濁り?。いやまだ漬けるの話、ね」
「それにしても今、特別な感情を持ってる人とかはいるの?」
「え、に、憎しみ?。まだ酒に漬ける話?。生きたまま酒に漬けるから、憎しみが酒に溶け出・・・。あ、ち、違うの?」
「・・・ぼ、僕?。何か怒ってる?。漬けるやつの話じゃないから?。あ、ごめんね」
「ごめんね、じゃあまずは漬ける話からしようか」
「ウェイターさん、ハブ酒あります?」
「あ、ないのね。そりゃそうですよね、こんなとこにないですよね」
「え?、女の子連れておいて、バーでハブ酒所望って?」
「どれだけ、直球じみているんだ、あんた、と」
「ちょっとウェイターさん、コースターにこんなこと書かれても困りますって」
「しかもそのコースターの上に乗っているのはハブ酒じゃなくてカクテルじゃないですか」
「ああごめん、ちょっとメモが、ね・・・。で、恋人はいないんだったよね」
「いやいやいやわかってますって。漬けるやつの話だよね」
「そう、漬けたはいいけど、結局のところ何がにじみ出てんのか、だ」
「これはなかなか難しかったよ」
「お酒に溶け込むようだから、その性質を利用して分離抽出しようと思ったんだ」
「そうしたら、ね」
「その性質を担う箇所が物質にはあるんだけど」
「官能基とかって言うんだけど、その性質を見出して、どうにか抽出できたん・・・」
「・・・いやあ、これ以上は言えないな・・・」
「・・・だって今、僕はハブ酒のハブのようなものだもの」
「官能基のせいで」
「今ここで、恋愛物質が溶け出しちゃっているんだもの」
「・・・ってオチのメモを先に相手に渡すの、やめてもらえません?」

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