珈琲十連・挽立ん香

コーヒー豆を店で挽いてもらうと、それを変な遮光っぽい袋に詰めてくれる。
その袋にはガス抜き何か、理由があるのだろうか。
小さな穴が2つばかり開けられている。
僕はその袋を見つけると、やらずにはいられないことがある。
その穴に鼻を近づけ、両手で袋を持ち、それぞれの人差し指で軽く袋をとんとんするのだ。
すると穴から、やたら甘いコーヒーの香りが漏れ出してくる。
コーヒーの種類とかは全然分からないのだが、とにかくこれがいいにおいだ。
普通の時と、煎っての時のコーヒー臭は段違い。
さながらマジックである(内部注:このくだり、やや無理やりの様相)。
煎ってからが本番。
そこからだいぶ「こいつやるな」感を出すコーヒーだが、それを挽いたものが詰め込まれている袋からのにおいは、また別のよさがある。
考えてみると、その良さは自作業「とんとん」にあるということに気づいた。
この作業で「自分の働きもあって、この香りがある」みたいな気持ちになるのだ。
また、このとんとん作業をしていると、周りからの見た目より
「この人、挽いた豆を人差し指の感触で楽しんでる!!」
「挽いた豆の音を楽しんでる!!」
という、誤ったしかし気分は悪くない玄人心象を人に与えることが出来る。
出来てどうこうはないですけど。
話は逸れたが、そんな袋詰め状態でも、挽いたコーヒーは少し楽しい。
暇なときにでも「袋を持ってとんとん」を試してもらいたい。
なんたって、その袋には小さな穴が2つばかり開いているのである。

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