ちょっとあなた。
ええ、あなたです。待ちなさい。
あなた、うちに何か御用なんですか。
ないんですか。
だったら、携帯電話で話しながらうちの前を歩かないでいただけないですか。
うちのことを言われているようで、気持ち悪いじゃないですか。
そうでしょう。
何をうちの報告をしていると思わせてるんですか。
ああ、ちょっとあなた。
あなたもうちに何か御用なんですか。
ないんですか。
なら、人の家の前で玉のような汗をかかないでください。
何をかいているんですか。
何をかくことがあるんですか。
ジョギングですか。
なら立ち止まるのは、うちの前は外してくださいな。
はずかしいでしょう。
玄関先にはあはあ言っている人がいると。
変な噂が立つじゃあありませんか。
はい、いま通った人。
うちの前を通るときに物を食べないでください。
え、別にゴミとか捨ててない。
いや、そういうことではなくて。
玄関を出ると目の前に大きく口を開けた人が見えるなんて、いやじゃあないですか。
不吉じゃあないですか。
それに、なんだか大きく口を開けているのは、ばかみたいじゃあないですか。
そんな人がうちのシンボルとして有名になったら、困るじゃないですか。
それにしても、あなたたち。
何ひとのうちの前で集まっているんですか。
うちに用のないことはわかっているんです。
早く通り過ぎてくださいな。
やっぱり変な噂が立つじゃあありませんか。