いつからか、ゲーセンに「ストリートファイターIV 」が出てきた。
何か、すごくうまそうな人たちがやっているので遠巻きに見ているだけだったが、最近ちょっとちょっかいを出してみた。
ガイルというアメリカ軍人が、昔使っていた僕の持ちキャラ。
僕の手は、どうやらレバーで「昇龍拳」という技が出せないシステムを構築しているため、おのずと使えるキャラクターが限られる。
彼は昇龍拳を持たないのだ。
それにしても1ゲーム100円は、高い。
ところで、古くより格ゲーの好きな人は、ガイルというキャラクターがいわゆる「待ちキャラ」であることをよく知っていると思う。
ゲームにおける「待ちガイル」という戦法と使用者は、歯に挟まって取れない、いかくんせいのように忌み嫌われたものだ。
僕の使うガイルは「特に待たないガイル」として、まぁ特に有名ではないが、とにかくぴょんぴょん跳ねては叩き落される、持ち味もへったくれもないガイルだ。
ガイルは親友のかたきを討つため、悪と戦っているという。
そんなガイルに申し訳ないのだが、上記の理由により、僕とガイルの勝率は低い。
案の定、よくわからない攻撃をしてきた相手に、負けてしまった。
これじゃあんまりだ、ということで次はザンギエフという赤パンを使うことに。
彼はガタイがよく、ゲームじゃなけりゃ誰よりも強そうなやつだ。
しかし、動きがのろい。
ほぼ熊のあつかい。
ゲームでの彼の持ち味は、レバーを一回転させる技、スクリューパイルドライバーだ。
相手を逆さに持ち、脳天を地面に叩きつける、48の殺人技にありそうなやつ。
なぜか僕はその技を出すことができ、しかも結構な確率で決めることができるのだ。
実際使ってみると、思ったよりもさらに技が決めやすく、コイツの対策がないような相手にとっては、かなり強いキャラクターになっているようだ。
僕のザンギエフは景気よく相手の頭を地面にぐりぐりした。
こういうとき、不安になることがある。
自分の使うキャラクターが、ゲームバランスが崩壊してしまうような強いキャラクターだったらどうしよう、ということだ。
「うわーあいつ、赤熊(憎しみの込められたザンギエフの別名)使ってるよ」
銀牙に出てきそうな別名になってしまったが、とにかくそんな感じ。
いやなのは、知らず知らずに強キャラを使ってしまっていることで、サブいことになってしまうことだ。
もちろん、ゲームである。
別に何使おうが、知ったところじゃないはずだ。
ただ「使ってもいいんだけど、ちょっとは考えてよね」みたいな風にもなるだろう。
それはちょうど、病院がポイントカードを発行するような感じ。
「まぁ、わかるんだけど、なんとなくダメじゃね?」
このあと、僕のザンギエフはうまい人に簡単にあしらわれてしまった。
もちろん、これで僕の不安が払拭されることはなく「単に下手だっただけ?」という憶測がプラスされ、むしろ不安が増大するのであった。