致命的に唐突で申し訳ないのだが、やはりマイルだ。
あの、貯まるヤツではなく、本来「距離」でしか使われないマイル。
それは、使い方によっては単なる距離、以上の意味を持つもの。
見てみよう。
◆歯医者まで5マイルあるよ。
明確である。
「5マイルもあるよ??。行くのやめようよ?。」である。
この印象は、単に「1マイルが結局、何kmに相当するのか、よくわからん」がゆえの遠さイメージもあるが、それに加えて
「わざわざkmで言えばいいところをマイルに言い直す」ことにより、
「その距離に対してどのような感情を持っているのか」を含ませた効果、であると言える。
◆「次の駅まで、何マイル?」
明確である。
「もうあるけなーい。荷物おもーい」である。
キロメートルをマイルと言った彼女は、キロメートル以上に歩けなくなっており、ハンドバッグも重い。
上記のように、たいていの場合、マイル置換は負の感情を伴う際に使用されるが、そうでない感じのものもある。
浅田次郎「天国までの百マイル」は明らかに「100マイル、遠いなー。でも、がんばるよ。助け合うし。椿山課長と会うし(注:会いません)。赤川次郎と間違われるし。」みたいなものを含んでいる。
これが「天国までの1609km」だと、「なんだおい車でぎりぎり行けそうだな、夏休み中に行っとくかヘブン」となったり、「天国にいちばん近い島って、なんだっけ」とかなり、赤川次郎もざんねんだ。
と、このように、マイルは距離以外の要素を持つ。
ドラマ、小説などでよくキロメートルではなくマイルが使われるが、これは特にメートルに対するあてつけではないのだ。
僕も、ちとハズいが、使っていこうと思う。
「なぁ、「ラストファイナルソルジャーの恋」っていう映画、絶対面白いから、いこうぜ?」
「えっ、でも、ここから映画館まで、結構なマイルありますよ?」