仙人はいそがしく。 2

昨日からのつづき。
【あらすじ】
フルーツ紅茶というものを飲んだが、ほぼオレンジだった。
紅茶、負けるな。
「オレンジよりも強い茶葉」を求める、机上の旅路へ。
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オレンジよりも強い茶葉は、いずこに。
ひとつ言えるのは、そこらの茶葉ではオレンジに負けてしまう可能性が高い、という点である。
そうでなかったら、フルーツ紅茶は、もっと紅茶紅茶しているはずだから。
よって、強い茶葉は秘境にあるに違いない。
ここで自動販売機から席に戻った我々は、恐らくその秘境とは、ギアナ高地か中国の山奥の方、であると断定する。
秘境といえばギアナ高地か中国の山奥の方。
万人が納得のチョイスである。
ところで、強い茶葉。
ギアナ高地や中国の山奥の方にあるようなのだが、その入手は困難を極めるにちがいない。
なんたって秘境なのだから、常人には無理だ。
しかし、我々は「フルーツ紅茶」を美味しくしなければならない。
秘境の強茶葉を取得する必要があるのだ。
ということで、仙人の登場である。
「仙人に茶葉を取ってきてもらうのがよいのではないか。」
仲間の一人が優れた意見を出した。
この世には70億に迫る人間が存在するという。
そのうちの1人がギアナ仙人でも、おかしくはない。
この際、「私はギアナで仙人をしています。」とバーなどで語るだけでも、そうであるとしよう。
しかし、この仙人委託案は暗礁に乗り上げる。
「仙人への謝礼は、どうするべきか。」である。
もちろん、無償でやってもらえるかもしれないが、そこはギブアンドテイク。
安定した強茶葉の供給には、そういう関係があったほうがいいのだ。
しかし、相手は仙人である。
あの仙人。
くねくねした杖の似合う仙人。
あごひげが長いので、いつもがけっぷちに立っていると噂の仙人。
山に隠って暇なので、いくつものけもの道を作って遊ぶような仙人。
何かを欲することがあるだろうか。
山吹色の菓子折りなども、効果が無いだろう。
ここで我々のひとりが、「仙人は霞を食う」という噂があることを思い出した。
何かの比喩かもしれないが、とにかく食うという。
考えるに、霞は食べるのにすごく時間のかかりそうなものである。
よって、これを濃縮したものは、仙人にとって霞を食べる時間を大幅に短縮するものではないだろうか。
これを強茶葉と交換するようにすれば、我々は強茶葉を入手でき、仙人は長い食事から開放されることとなる。
万事解決である。
ということで「フルーツ紅茶の会社は、六甲のおいしい水とかを用意しておいてもらいたい」。
率直でない空論である。

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