座席

ある特定の地域の中でしか生活をしない者。
といっても、それは都道府県レベルの話だが。
彼らが何に旅情を感じるかといえば、それは「普通電車の座席タイプ違い」であると言っても、過言ではない。
例を挙げてみる。
日常生活では「両側に座席のあるタイプ(Type U)」の電車を利用しているものが、「座席が、2人用」のものが向かい合っているタイプ、「よつばと」でいうところの「なかよし」(Type H)の電車に乗ったとき。
たとえ距離的には、そんなに自宅から離れていなくとも「なんだ、ずいぶん遠くに来たもんだ。」と思わずにはいられないのだ。
もちろんこの逆も同じ。
そしてこれは、新幹線(Type I)や寝台車(Type S)でも同じだ。
いつもはType Uに乗っている人ならば、どんなにType Iの利用回数が多くとも、それに乗ると「これから俺は遠くに行くんだな。」と少しは感じてしまうのだ。
このことは、旅のときの一種の高揚感が、タイプ別の電車に乗ることで生まれてしまう、ということも示している。
例えば上記のType Hに乗った人は、ほぼ100%の確率で、使用もしない小さな供え付きテーブルを展開してしまう。
友人などがいると、普段はあまり喋らないのに「なんだよ?このテーブル、ちいせー!!」とか言ってしまう。
座席タイプ違いの高揚感が、人をそうさせる。
僕も昔、Type Sで一夜を過ごすことになったとき、その場で知り合いになった家族の、小学生の男の子に漫画版「笑ゥせぇるすまん」を読み聞かせてしまったことがある。
これも高揚感がそうさせたのだった。

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